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大きな声で話すと、元気がよく、好印象を与えられることが多いが、大きすぎると指摘された経験がある人もいるだろう。声の大きさにもTPOがあって、その場にそぐわなければ、大きすぎて耳障りになってしまう。ただ、自分自身では、気づかないこともある。今回は、声の大きさについて意識したいポイントを紹介する。
声の大きさの目安
声が大きい、小さいといわれても、どれくらいなのかわかりにくい。そこで、一般的な声の大きさと騒音の大きさを比較してみよう。騒音測定などで使用される「dB(デシベル)」の値で確認してみよう。
・ささやき声 40dB 図書館の中
・小さな声 50dB 静かな事務所内
・普通の声 60dB 走行中の自動車内やデパートの店内
・大きな声 70dB 騒々しい事務所や掃除機
・かなり大きな声 80dB 走行中の電車や飛行機内、サイレン
・怒鳴り声 90dB カラオケ店内や工事現場など
声の大きさと音の大きさをイメージできるだろうか。90dBになると、会話ができないレベルの騒音のため、この大きさの声で普段話すことはまずないだろう。声が大きいと常に周りの人から指摘される場合は、70dB以上の環境をイメージしてみるのがいいかもしれない。
自分の声は、自分自身で認識するのがむずかしいため、客観的に知りたいのであれば、普段の会話を録音することで、相手の声の大きさと自分の声の大きさの違いがわかる。ただ、普段声が大きくても、TPOに合わせて使い分けていれば問題はない。滑舌がよく通る声と、ただ大きい声は違うため、声が大きくなりやすい原因も確認しておきたい。
声が大きくなる原因
ついつい声が大きくなってしまうという人もいるだろう。では、なぜ声が大きくなってしまうのか確認してみよう。
・自分の声が聞こえていない
自分の声が正しく聞こえていない場合、声が大きくなる。聴力が衰えてくると声が大きくなる場合が多いが、例えば、ヘッドフォンで音楽などを聴いているときに声をかけられると、いつもより大きな声で返事をしたことがある人は多いだろう。
あるいは、ヘッドフォンをしている人に声をかけ、大きな声の返事が返ってきたという体験の方がわかりやすいだろうか。これは、ヘッドフォンからの音を聴いているため、自分の声が聞き取りにくく、大きな声になっているのだ。騒音の中で会話しようとするときに、声を大きくするのと同じ現象だ。
もし、ヘッドフォンなどで耳を遮っていない場合でも、大きな声になりがちな場合、自分の声がどの程度聞こえているか聴力検査も含め、確認してみよう。
・鼻づまり
意外ではあるが、鼻がつまっていると声が大きくなる。これは、自分自身の声は、内側で反響したものを聞いているためだ。他人が聞いている声と自分が聞いている声が違うことは、録音などで気づいたことがあると思うが、鼻がつまると、声が響かず、自分自身の中で小さく聞こえるのだ。試しに鼻をつまんで声を出してみてもらいたい。声がこもって小さく聞こえることがわかる。
・感情のコントロールができていない
緊張してのどに力が入ったり、怒りが込み上げてきたりすると、声が大きくなる。口論になって、感情が抑えきれず、大きな声になることは容易に想像できるだろう。ディスカッションなどで白熱した場合も、声が大きくなりすぎると感情的になっているだけだと受け止められる可能性もあるため注意したい。
人が聞きやすい声の大きさを使い分ける
声の大きさは、TPOに合わせて使い分けるのが理想だ。実は、多くの人は自然とできている。例えば、プレゼンテーションでは大きな声で発表したのち、個別に詳細を話すときに、大きな声で話す人はまずいない。ただ、いつも声が大きいと指摘されるなら、ベースの声が大きく、その中で使い分けられている可能性もある。
その場合、全体的に少しずつ声を小さくする意識をしてみるのもいいだろう。ただし、小さくすると口先だけで話してしまう場合が多い。ボリュームを変えるだけなので、しっかり腹式呼吸で発声するのがおすすめだ。
声の大きさは、自分では気づきにくいだけに客観的に確認したいなら、騒音計のアプリなどで手軽に計測できる。声は、大きすぎると、うるさい人だと思われ、小さすぎると、何をいっているのか伝わりにくいなど、どちらに偏ってもいい結果にならない。声の大きさは、意外に大切だということを心にとめてほしい。
文/林ゆり