近年、退職時のトラブルなどを理由とした「退職代行」の利用が話題になっている。では、実際に退職時の対応に悩んだ人はどれぐらいいるのか、また、具体的にどのような問題で悩んでいるのか。
そんな退職の実態を調べるべく、総合型転職エージェントのワークポートはこのほど、全国のビジネスパーソン719人(20代~40代男女)を対象に「退職時のトラブル」に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
【退職の実態】82.6%の人が退職経験あり 引き止めなどで退職できなかった人は3.9%
はじめに、対象者全員に退職を経験したことはあるか聞いたところ、82.6%が「退職した」と回答し、「退職しようとしたができなかった」とする人は3.9%となった。
退職しようとしたができなかったと回答した人にその理由を聞いたところ、主に「会社から引き止められたため」(20代・女性・接客販売)、「転職先が決まらなかったため」(40代・男性・営業)などの意見が挙がった。
【退職の経験】約8割が「スムーズに退職できた」 一方「引き止めにあい揉めた」人も…
次に、退職を経験したとする人にスムーズに退職できたか聞いたところ、「かなりそう思う」(37.2%)、「ややそう思う」(43.9%)が合わせて81.1%と大半を占め、「あまりそう思わない」(15.5%)、「まったくそう思わない」(3.4%)は合わせて18.9%となった。
スムーズに退職できなかったとする人にその理由を聞いたところ、「粘り強く引き止められたため」(30代・男性・製造)、「人が少なく引き継ぎに時間を要したため」(30代・女性・事務)などの意見が多く挙がっており、それにより退職時期が遅れたという人も少なくなかった。
▼スムーズに退職できなかった理由(一部抜粋)
「引き止めにあい揉めたため」(20代・女性・医療福祉介護)
「上司に退職の話を無視されたり、はぐらかされたりしたため」(40代・女性・企画マーケティング)
「退職願を受理してもらえなかったため」(40代・男性・クリエイター)
「業務の引き継ぎや後任の人員確保、育成に時間がかかったため」(20代・男性・コールセンター)
「繁忙期と重なり退職日を引き伸ばされたため」(20代・女性・接客販売) …など
【退職への不安】今の勤務先で退職手続きや退職交渉に関する不安が「ある」が47.7%
最後に、対象者全員に今後実際に転職する場合、今の勤務先に対して「退職手続き」や「退職交渉」に関する不安があるか聞いたところ、「かなりある」(16.3%)、「ややある」(31.4%)とした人は合わせて47.7%となった。
今後の退職に関する不安があると回答した人に具体的な懸念点を聞いたところ、「引き止めへの対応や退職時の事務手続き」(20代・男性・システムエンジニア)、「退職時期・引き継ぐ人の不足」(40代・男性・管理)など、主に引き止め・退職手続き・スケジュール・引き継ぎなどに不安を感じるとする意見が中心となりました。また、「退職時の嫌がらせ」(30代・男性・営業)、「態度が豹変すること」(40代・男性・製造)など、ヤメハラを不安視する声もあった。
▼今後の退職に関する不安(一部抜粋)
「退職までの流れが分からない。退職を諦めるよう説得されないか不安」(20代・女性・営業)
「退職意向を伝えるタイミングや引き止めへの不安」(30代・男性・医療福祉介護)
「退職時期や退職金、引き継ぎのスケジュール、有休消化に関する不安」(40代・女性・事務)
「転職の妨害、退職日までの業務妨害、退職手続きの不備などの嫌がらせ」(40代・男性・その他)
「怒りや恨みを買ってしまわないか」(20代・女性・事務) …など
退職の実態として、多くの人がスムーズな退職を実現できているものの、過度な引き止めなどに苦労した人も一定数いることがわかった。また、労働者には自由に退職する権利があるが、それに伴う交渉や手続き、ヤメハラなどへの不安を抱えている人も少なくないようだ。近年「退職代行」が話題にのぼるのも頷ける結果となったのではないだろうか。
<調査概要>
調査内容 :退職時のトラブルに関する実態について
調査機関 :自社調査
調査対象 :当社を利用している全国のビジネスパーソン(20代~40代・男女)
有効回答 :719人
調査期間 :2024年5月28日~6月4日
調査方法 :インターネット調査
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある。
出典元:株式会社ワークポート
構成/こじへい