3)「ボイスボット・CRM×生成AI」
コンタクトセンターにおいても近年、生成AIが活用されている。
チャットボットやボイスボットを提供する株式会社AI Shiftと、CRM(顧客管理システム)を提供するギグワークスクロスアイティ株式会社がタッグを組み、コンタクトセンターで活躍する新たな生成AIソリューションを生み出した。
●「ボイスボット・CRM×生成AI」でできること
このほど、生成AIと連携したボイスボットと、AIが搭載されたCRMとが連携した。
まず生成AIボイスボットは、顧客からの電話対応に自動音声で応じる。従来のボイスボットよりも高精度に意図理解、対話管理、言語生成を行えるという。
AI搭載のCRMは、オペレーターによる通話中、AIエンジンが自動で音声をテキスト化し、キーワードを抽出し、必要な回答をFAQからレコメンド。生成AIが自動要約も行う。
●生成AIがコンタクトセンターにもたらす効果
生成AIは、コンタクトセンターにどんな効果をもたらすか。
AI Shiftのアライアンス推進室 古谷郁実氏とギグワークスクロスアイティのCRMコンサルタント 須田克美氏にインタビューを行った。
「生成AIのコンタクトセンターでの活用は人手不足解消、呼量削減、後処理工数の削減、サービス品質の向上、顧客体験の充実、機会損失の削減に寄与すると考えています。
例として、ボイスボットやチャットボットによる自動応答でオペレーターの負担軽減やFAQレコメンドが迅速かつ精度の高いサポートによるCX(カスタマーエクスペリエンス/顧客体験)の向上などを実現しています。コスト削減と生産性向上につながることで、人材不足やサービス品質向上に応える解決策となり得ます」
●生成AI活用の今後の展望
生成AIを活用することで、今後、コンタクトセンターはどのように発展していくだろうか。
「人手不足や採用難に加え、顧客体験(CX)だけでなく従業員体験(EX)の向上のためにも、生成AIの活用は重要であり、今後さらに進展すると考えられます。 鍵となるのは、生成AIの搭載された各ソリューションの連携だと考えます。これにより電話応対後のCRMとの連携もすることで、業務改善の幅が大きくなるでしょう。今後も積極的に生成AIを活用できるソリューションを展開してまいります」
コンタクトセンターは、顧客から見えないところでも生成AIが活躍しており、多くの課題解決に寄与しているようだ。結果的に顧客サービスが向上することは、嬉しい効果と言える。
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生成AIとシステム連携の可能性について探った。生成AIは、システムの利便性を上げるだけでなく、直接的、間接的に顧客が喜ぶ可能性が見出せた。今後の技術進化とさらなる活用に期待したい。
文/石原亜香利