さまざまなコンテンツを生み出す「生成AI」。ChatGPTをはじめとしたさまざまな便利なサービスが生まれ、業務にも活用されている。そんな生成AIを、システムに連携させることで、業務の自動化や効率化を進めている事例がある。「システム×生成AI」の組み合わせにより、どんな効果が得られるのか、3つの例から探ってみた。
1)PIM(商品情報管理)×生成AI
PIMは「Product Information Management」の略称で、社内の様々な部門で管理する商品情報とプロモーション情報を一元管理することで、Webサイトやカタログなどのあらゆるチャネルへスムーズに情報活用できるシステムだ。
「この商品のスペック情報や商品画像はどこにある?」といちいち探し回っていては非効率。特に大量の商品を持つ企業では起こりがちな課題だ。PIMを活用することにより、商品プロモーション展開のスピードが上がったり、カタログ制作シーンでも効率的に進められる。
そんなPIMと生成AIを組み合わせたのが、国際的に採用されているPIMとDAM(デジタルアセット管理)を統合したクラウドサービス「Contentserv Product Experience Cloud(PXC)」だ。
Contentserv PXCでは、社内外に散在する異なる形式のデータを取り込み、構造化された共通のデータモデルに変換。ECサイトやWebサイトなどと連携し、顧客が必要とする情報をスムーズに提供できるという。
このほど生成AIが導入され、顧客のプロフィールや使用言語に応じた商品説明を自動生成できるようになった。
●「PIM×生成AI」で実現できることともたらす効果
株式会社Contentserv代表取締役社長 渡辺信明氏に、「PIM×生成AI」で実現できることについてインタビューを行った。
「これまで商品コンテンツは、一度制作したら二度と更新されないことがほとんどでした。制作を外部業者に委託しているケースも多く、顧客の嗜好に合わせてコンテンツをパーソナライズすることは、パーソナライズされたコンテンツが組み合わされた結果として、顧客の琴線に触れる購買体験を創出することができます」
生成AIは、業務効率化にも寄与するという。
「商品データベースの設計、メーカー毎に異なる表現の標準化、データのクレンジング、商品コンテンツの翻訳等でも生成AIが活用され、業務効率化に大きく寄与しています」
●生成AI活用の今後の展望
生成AIを活用することで、今後はどのように発展していくだろうか。
「メーカーにとって、商品コンテンツは製品の一部として捉えられていくでしょう。機能や価格に加えて、顧客の価値観・ライフスタイルに応じたエモーショナルなコンテンツを提供することで、所有満足度や利用満足度が向上することになります」
生成AIは、業務効率化に役立つだけでなく、顧客ニーズを満たすことにも寄与する。それがよくわかる活用のされ方といえそうだ。