フッ素樹脂加工品の調達における課題
同社のデジタル戦略本部 副参事で、中小企業診断士でもある笠本竜司氏は、半導体製造メーカーの調達部門が抱える課題について、次のように述べる
「当社が扱うフッ素樹脂部品は、半導体産業に不可欠な素材です。しかし近年はフッ素樹脂素材の原料不足と同時に、半導体業界の急激な需要拡大に伴いフッ素樹脂加工ができる工場の負荷が高まっている状況です。さらに、半導体産業は設備投資の波があり、繁忙期には特定の工場でオーバーキャパが生じ、当社においても顧客のニーズに迅速に応えられない問題を抱えていました。
そこでなんとか問題解決を図ろうと、サプライチェーンの点検とボトルネックの洗い出しを行った結果、『図面見積もり業務の非効率さ』が浮かび上がってきました。
当社では顧客(半導体製造メーカー)から送られてきた部品図面を受け取り、図面を見て加工できる工場を選定し、価格と納期を確認していましたが、繁忙期は当社および加工先の見積もり担当者の負荷が高まり、業務が滞ってしまうという問題があったのです」
その問題の穴を埋めれば、半導体製造メーカーおよび加工会社の調達業務の効率化につながると、同社は考えた。
「この問題を受け、『人に依存する部分を自動化する』をテーマに、AI(人工知能)・統計解析の活用で効率化を図るアプローチを採用しました」