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LINNのオーディオシステム「Selekt」でピンク・フロイドの『狂気』を聴く【後編】

2024.07.07

両盤の圧倒的な見た目の違いにヒントが…?

そこでマト1愛好者のバイブル・サイト「Discogs」で調べる。僕の持つ2023年リマスター盤はA面3A/B面4B、クリスタル・クリア・ヴァイナル盤は7A/??(??とは数字やアルファベットではなく、ワープロでは出せない記号の代理記号)。どちらも両面初回プレスという位置付けなので、マトリクスによる優劣は考えにくい。ちなみにカッティング・エンジニアは、両盤ともリマスターを手がけたバーニー・グランドマンで同じだ。

2023年リマスター盤は黒いビニール盤。

クリスタル・クリア・ヴァイナル盤のジャケット。

クリスタル・クリア・ヴァイナル盤の表面=オーディオ面。

クリスタル・クリア・ヴァイナル盤の裏面=絵柄がUVプリントされた面。録音はない。

ここで今更ながら、両盤の圧倒的な見た目の違いに注目したい。かたやオーソドックスな黒いビニール盤、かたや透明なクリスタル・クリア・ヴァイナル盤。レコードの世界では黒いビニール素材がベストで色付きやピクチャー仕様は音質が劣るという声があるが、この『狂気』の場合、クリスタル・クリア素材が音質に好影響を与えているのではないか?

レコードをカセットテープに録音することが大流行した1980年代、カセットテープには通常のノーマルテープの他、より良い音で録音できるハイポジションテープやメタルテープが存在した。テープの磁性体が異なるのだ。これと同じように、クリスタル・クリア・ヴァイナル盤には絵柄をプリントできるだけではなく、音質を上げる効果があるのかもしれない。いやいや、これでは「マネー」の音の差は説明できても「タイム」の音に大差がないことは説明できない。

なんとか真相を探るべく2023年リマスター盤をEU盤とUS盤で比べることを思いつき、AmazonのUSで送料込み6631円で購入した。到着してクレジットを見ると、意外にもEU盤と同じオランダ生産。マトリクスはEU盤が3A/4BでUS盤が6A/5Bと異なるが、DiscogsではEU盤同様US盤も初回プレスの位置付けだ。比較試聴すると、「タイム」はEU盤が、「マネー」はUS盤がやや勝るような気がする程度の差しかなく、両盤の音質は両面ともほぼ同じ印象。2023年リマスター盤(EU盤)とクリスタル・クリア・ヴァイナル盤での大いなる「タイム」の音質差を謎解くヒントはなかった。なおソニーから発売された国内仕様盤は、マトリクスが6A/5BなのでUS盤だ。

こうなるとお手上げだ。60年代70年代のレコード道も深いが、21世紀令和のレコード道もやはり深いということか……。ただ明確に言えることは、より音のいい50周年リマスターのアナログ『狂気』を聴きたければ、2023年リマスター盤ではなく2024年発売のクリスタル・クリア・ヴァイナル盤を手に入れたい。そしてUKマト1、ブルー・トライアングルに勝る音質の『狂気』はない、ということだ。

最後に蛇足を。オーディオの師匠・岩田さんから、電源を工事して各種ケーブルを一新すれば音はいよいよ良くなるとアドバイスされている。費用はおよそ120万円なり。岩田さん、予算終了でございます。

文/斎藤好一

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