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日本人にとって「働く幸せ」とは?コクヨと京都大学が共同研究で発見した幸せに働く秘訣

2024.07.05

風通しがいい組織に変える方法

photo/Kazuhiro Shiraishi

――風通しがいい組織は、ゆるいつながりを生む。コクヨではドレスコードの撤廃により、組織の風通しは良くなったという。

黒田:もともとオフィスカジュアルでしたが、ダメージジーンズやピンヒールが好ましくないという規制があり、これを撤廃しました。自分たちの判断で、TPOをわきまえた服装を選ぶのです。私もスゥエットで出社することもあります。

先日、スーツで会社にいたら、ある女性社員から「なぜスーツなんですか?」と質問されたのです。その意図を聞くと「社長がスーツだと、他の男性社員もスーツを着るから、それは困る」と。

かつては、男性社員のほとんどがスーツで、威圧感があったそうです。それが社員間のコミュニケーションの“壁”になっていいたのだと、その時に改めて気づいたのです。

――服装が自由になると会話も生まれ、想像力も刺激される。プライベートな部分や、人間味を共有する機会も生まれるだろう。

黒田:社員同士には明確なヒエラルキーがあり、それがあるからこそ、組織が健全に動いていきます。ただ必要以上に威圧感を出してしまうと、問題の共有がしにくくなるなど、さまざまな問題が起こります。ドレスコードの撤廃によって、会社の風通しは良くなったと思います。

――他にも、コクヨは他部署の仕事を行う「社内復業」などの独自の取り組みを行っている。本誌は以下の記事で、それらの取り組みを詳述している。

ウェルビーイング企業として知られるコクヨのサステナブル経営は現場にどう受け入れられたのか?
会社も従業員も幸せに!ウェルビーイングと業績アップを実現する方法をコクヨに聞いてみた

個人の幸福と、持続可能な社会はつながっている

――これまで紹介した取り組みにより、コクヨグループの離職率は下がっているという。それと同時に、学生から人気企業として注目され続けているのだ。

ただ、社会全体は、「より多くを獲得する」という資本主義経済で動いている。結果を出すためには、競争と進化が付きまとう。

黒田:ただ、自分の利益を追求し続け、パイを取り合ってしまうと破綻に向かってしまう。企業の目的は、そうならないための新しい価値を生み出すことです。そのためには、個人が集団の中で、自分らしい生き方や働き方を維持しつつ、お互いにいいところを出し合って、社会の課題を解決するサービスや製品を生み出す。このイノベーションは、目の前の人だけでなく、社会全体の人に感謝されるでしょう。個人が自律し、仲間と協働しながら成長していくことが、私たちが目指す社会です。

内田:グローバル化が進み、自律と協働という要素がないと、社会そのものの成立が難しくなっていくと思います。今後、「work ethic」(労働倫理)も重視されるでしょう。

これは、仕事の成果、収入、昇進などに関係なく、仕事に対する意識の持ち方や、よい働きをすること自体に価値があるという信条。これが、働く人のウェルビーイングにつながっていくのではと思います。

――個人の人間らしさ、働く人同士の緩やかなつながりと信頼感が「幸せに長く働く」要素として欠かせない。黒田さんは、「人の流動性」にも注目しているという。営業担当者が開発に異動すると、思いがけない着眼点からイノベーションが起こることがあるからだ。

photo/Kazuhiro Shiraishi

黒田さんは「コクヨという法人」のために、グローバル企業や事業規模が大きい会社の経営を経験した人を、取締役や執行役員として迎えている。視座が異なる経営経験者や学者から得た知見を、経営に取り入れているという。

変わり続けるから、イノベーションは生まれる。その根底に個人と、社会のウェルビーイングがあることが、改めて分かった。

取材・文/前川亜紀

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