ユーザーと弁護士をつなぐ「弁護士ドットコム」や電子契約サービスの先駆け「クラウドサイン」など、日本社会を変えるサービスを複数立ち上げてきた元榮社長。そんな彼の習慣は「超エネルギッシュ」で、常に未来を視ていた。
2005年創業、「弁護士ドットコム」「クラウドサイン」「税理士ドットコム」などを運営。いずれも業界最大で弁護士ドットコムには日本の弁護士の3人に2人が登録。2014年に東証マザーズ(現グロース)上場。
「一見さんお断り」だった弁護士業界を変えた習慣
──元榮さんの人生を変えた「習慣」はありますか?
いつも「自分は常識的に考えてしまっているんじゃないか」と振り返るようにしています。父の海外転勤のためドイツ・デュッセルドルフの中学校に通っていた時、サマータイムを経験しました。夏に切り替わる時は深夜2時が急に3時になって、冬になる時は午前2時が2回ある(笑)。この衝撃をきっかけに〝自分の常識や日本の常識など、常識はひとつではない。むしろ何か考えた時、常識に縛られてないかと疑ったほうがいい〟と思うようになりました。
──それが事業に結びついた?
はい。私が起業するまで弁護士はまるで〝一見さんお断り〟の料亭のように、紹介者がいないと依頼を受けない方もいる業界でした。私はそんな常識を疑い「もっと身近な存在になれないか」と考えていたんです。そんなある日、引っ越し業者さんを比較するサイトを見て「これだ!」と思い、1週間後に弁護士事務所に退職を伝えて起業しています。
何か課題を見つけたら「ソリューションはないか」と仮説を立てることが大切なんです。「クラウドサイン」の事業を始めた時も同じでした。契約を結ぶ時って、契約書を印刷して製本して、割り印をいくつも押すのが当然でしたよね。私も何十枚もある契約書を何部も作りながら「これが21世紀にやること?」と思っていました。その解決策はないか仮説を立てた時、「クラウドサイン」の構想が思い浮かんだんです。
──事業以外でも常識は疑っているんですか?
はい。小さなことですが、事務所が入居していたビルに便利な通路があったんですが、その鍵は1社に1つという規則があったんです。「そんなの合理的な理由はないよね?」と思って交渉したらもらえましたよ。
常識も同じで、変えられるんです。むしろ常識を変えてユーザーに喜んでいただく仕事が「イノベーティブ」とか「クリエイティブ」と言われるのだと思います。