人的資本経営とは、何かご存じだろうか?
人的資本経営とは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営の在り方のこと。2023年3月決算からは、有価証券を発行している企業のうち大手企業約4000社に対しては人的資本の情報開示が義務化されるなど、今、注目を集める経営のスタンスだ。
フォーバル GDXリサーチ研究所はこのほど、中小企業の経営者973人に「中小企業の人的資本経営に関する実態調査」を実施し、その結果を発表した。
人的資本経営を詳細に理解できている経営者はわずか3.8%に
「Q1. 人的資本経営についてどの程度知っていますか」と尋ねたところ、「知らない」(41.2%)と「聞いたことはあるが、よく知らない」(31.7%)を合わせて、72.9%が人的資本経営について説明できないという回答結果となり、「知っており、他の人に説明できる」はわずか3.8%となった。中小企業では人的資本経営について理解ができていない経営者が多数を占める結果となった。
「Q2. 人的資本経営に取り組みたいと考えていますか」と尋ねたところ、「どちらともいえない」が47.4%、「いいえ」が16.5%との回答結果となり、取り組みたいと考えている中小企業の経営者が未だ少ないことが明らかになった。
「Q3. 人材育成に関する総費用を設定されていますか」という設問では、「設定していない」が79.1%との回答結果となり、大半の中小企業において人材育成に関わる費用を設定していないという結果になった。人的資本経営では人材を「資本」として捉え、人材育成を通じて企業価値の向上を図るものだが、そもそもの人材育成に向けた予算の確保が十分にされていないとわかる。
人的資本経営の構築に向けた重要な人材の確保に関する設問において、「Q4. 法務・法律に関する外部認証や資格を保有している人材」は8.7%、「Q5. IT・デジタル・DXに関する外部認証や資格を保有している人材」は10.1%、「Q6. 環境・SDGs・GXに関する外部認証や資格を保有している人材」は5.3%が、「社内に確保できている」と回答した(「社内及び外部に確保できている」+ 「社内に確保できている」の計)。
それぞれの項目における人材について、社内に確保できている中小企業は非常に少ない結果となった。
中小企業では人材育成・確保に関する予算の確保がまだまだできておらず、重要な人材の確保が社内にできていない中小企業が多いことが推察される。