泣きたいわけではないのに涙が止まらない。
泣いてはいけない場所なのに、泣くのを我慢できなかった。
そんな経験をしたことはありませんか?
大人になっても自分自身で泣くことをコントロールできずに悩んでいる人は、実は多いのです。
職場などでは、心配されるならまだしも、周囲から気を使われるようになるなど、コミュニケーションの弊害になることも。すぐに泣いてしまう原因は何なのでしょうか。今回はすぐに泣いてしまう原因と、感情をコントロールしやすくなる方法をお伝えします。
なぜ涙が出るのか
まず、人が涙を流す理由を見ていきましょう。
物理的に目に異物などが入った場合には目を保護するために涙を流しますが、ここでは悲しいときや悔しいとき、うれしいときなど、感情的な涙のほうを取り上げます。
ストレスがかかったときや、感情が高ぶったとき、体は緊張します。その緊張から解放されたときに、人は涙を流します。涙を流すことで体が緩み、体と心のバランスが整うと言われています。
ストレスと聞くと、うれし涙などは違うのではと思う方もいますが、喜びや感動などのポジティブな場合もストレスはかかります。そのストレスが緩和されたときに人は涙を流すのです。
すぐ泣いてしまう原因
次に泣きたくないときに涙が出てしまう原因について取り上げます。
1.ストレス状態にある
上記の涙が出る理由のところでも触れたように、人は過度なストレス状態にあるときに体が緊張しており、その緊張状態を緩和するために涙が流れます。なので、泣きたくないときに涙を我慢できない人は、今がまさにストレス状態にある可能性があります。
緊張の糸がピンと張った状態とは、余裕がない状態ということ。些細な出来事でもストレスを感じやすくなり、それが涙として体がストレスを逃がそうとしているのです。
2.言いたいことをため込んでいる
うまく自分の感情を言葉にして伝えられない人も、すぐに泣いてしまう人が多いです。
言いたいことを伝えられないことで、多くのストレスを抱えてしまっています。相手が自分の気持ちをわかってくれていないというストレスや、自分のことをうまく伝えられないことを自分のダメなところだと思い、それもストレスとなります。
3.マイナス思考
マイナス思考な人も涙もろいという特徴を持っています。
マイナス思考の人は、他人からのアドバイスも否定されたと思い込んだり、些細なミスでもひどく落ち込んだりなど、何事もネガティブに捉えます。つまり、それだけ他人からの否定に敏感ということ。否定されたくないあまり、極端に他人に気を使いすぎている傾向があり、常に緊張状態にあると言えます。
4.共感力が高い
ドラマや映画の内容や、他人の話などに感情が大きく動かされるといった共感力が高い人も、涙をうまくコントロールできません。
共感力が高い人は、他人と自分の境界線があいまいになりがちです。他人の不幸な話などでは自分の過去と照らし合わせて自分のことのように思い込みます。そして、さらにその人をなんとかしてあげたいと自分よりも他人を優先させてしまいます。
他人を優先させるということは、他人に気をつかうということ。気づかないままにそのストレスは蓄積されていきます。
すぐに泣いてしまうのは、特性や病気の可能性も
前述した共感力が高いこと、他人に気を使いすぎていることなどの原因として、元々「HSP」という気質を持っている可能性もあります。
HSPとは、「Highly Sensitive Person」の頭文字を取ったもので、日本語の意味は「とても繊細な人」となります。HSPは心理学者が提唱したもので、病名ではありません。診断を受けるものではなく、自分自身でHSPの気質を持っていると自覚するものとなります。病院で診断されるものではないので、明確な治療法もありませんが、自身の特徴を正しく知ることで考え方を前向きに変えていくことはできます。
さらに、今までは違ったのに泣きやすくなった、泣くという感情がコントロールできなくなったなどの変化に加え、
・何をしても楽しめない
・強い気分の落ち込み
・無関心
・集中力の低下
・頭痛や、めまい
・食欲不振や不眠
などが続く場合には、心の病かもしれません。上記のような症状によって日常生活に支障が出る場合には、早めに医療機関の受診を検討してください。
泣くという感情をコントロールしやすくなる3つの方法
すぐ泣いてしまうことを直したいと思っている人は多いはず。しかし、泣くということは、緊張状態を緩和させ、体をリラックス状態へと導いてくれるものなので、まずは泣いてしまう自分を責めることはやめてください。泣いてもいい場所では泣くことを我慢しないこと。
ここでは、泣くことをやめるのではなく、泣くという感情をコントロールできるようになる方法をご紹介します。
1.ストレスを減らす
最も大切なのは、ストレス状態から脱することです。そのためには休むことを最優先してください。
しっかりとした睡眠やきちんとした食事などを取り入れ、体をゆっくりと休めるだけでも効果がありますが、暇な時間にそのストレスの元となる悩みを考えてしまうような人は、趣味など楽しみの時間を作るようにしてみましょう。
2.自分の気持ちを言葉で表現するクセをつける
自分の気持ちを抑え込んでしまうこともストレスを抱える原因となります。自分の気持ちを他人に伝えることが感情をコントロールさせるためにしてもらいたことではありますが、すぐに言葉にできるなら苦労しませんよね。
うまく気持ちを言葉にできないという方は、まずはノートなどに自分の気持ちを書くようにしてみてください。書くことも、気持ちを表現することになります。
書き方は、どういうことがあって、それに対してどのような感情になったのか。そうすることで自分の気持ちを客観視できて、自分自身で気づきやすくなります。自分の気持ちに気づけると、泣いてしまうほどの張り詰めた状態になる前に自衛することができるようになります。
3.自分の気持ちから他のことに意識をそらす
ゆっくり休息して、自分の感情を客観視することができるようになっても、どうしても咄嗟の涙を止めることができない場合があります。そんなときは、まったく関係のない他のことに意識をそらすようにしてみてください。
泣きそうになっているとき、通常よりも自分の気持ちに頭が占領されている状態です。それは、自分の気持ちに注目してしまっているということ。その注目を他にそらすのです。
全然関係のないこととは、次の食事で食べたいもの、平日であれば週末にしたいことなどです。泣きそうになったときに考えることを決めておくのもおすすめです。
文・構成/藤野綾子