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ビジネスシーンでも耳にする言葉「一途をたどる」の意味と正しい使い方

2024.09.18

「一途をたどる」という表現は、ビジネスシーンや小説などで見かける事があります。耳にする機会はあっても、具体的な意味や使い方は良くわからない人もいるのではないでしょうか?

本記事では「一途をたどる」の意味と正しい使い方を例文付きで解説します。また、「一途をたどる」を使うにあたって気をつけたいポイントと、似た意味を持った言い換え表現も解説するため、文章作成の参考にしてください。

「一途をたどる」の意味

「一途をたどる」は、ひたすら同じ方向である「一途(いっと)」へと進んでいく様子を意味する言葉です。

「途中で様子が変わることなく、常に一方向的に進行し続けるさまを意味する表現。「悪化の一途を辿る」のように、好ましくない状況への進行を表すことが多い。段々と程度が甚だしくなっていくといった意味合いを伴う場合もある。」

引用:実用日本語表現辞典

あまり話し言葉として耳にする機会は少ないものの、小説や周知を目的とした報告書など、ビジネスシーンでも見かける事があります。

「一途をたどる」の使い方

「一途をたどる」は、途中で様子が変わる事がなさそうな状況に使います。また、現在も変化が進行している事柄に対して使うものであり、すでに終了した出来事には「一途をたどる」とは言いません。

基本的にネガティブな意味を持つシーンで使われる事が多く、たとえば業績が下がっている、ウイルス感染者の数が増加し続けているといった場面で「悪化の一途をたどる」という言い回しをします。

例文

・「状況は悪化の一途をたどり、ついに緊急会議が開かれる事になった」

・「昨年の不祥事発覚によりA社の業績は悪化の一途をたどっている」

・「日本の失業者の数は悪化の一途をたどっている」 

「一途をたどる」を使う際の注意点

「一途をたどる」というフレーズは、正しい意味を理解していないと相手にきちんと伝わらない可能性があります。 

つい誤用してしまう場面もあるため、次のポイントに注意しましょう。

過去の出来事には使わない

 「悪化の一途をたどる」という表現は、現在進行形の事柄に対して使う事が基本です。

 たとえば、「悪化の一途をたどっていった」と過去系の表現する事もできますが、問題自体はまだ解決しておらず、状況が続いている事を表す際に適切な表現です。

 すでに終わっている出来事は「一途をたどっている」状況とは言えないため、「業績は悪化の一途をたどった」よりも「業績が悪化して倒産した」といった、結果を伝える言い回しがおすすめです。

「一途(いっと)」と「一途(いちず)」を使い分ける

 「一途(いっと)」と「一途(いちず)」は、同じ漢字で読み方が異なる表現です。どちらも一方向に意識が向いている様子を表す表現ですが、「一途(いっと)」は道を進んでいく様子そのものを意味する言葉です。

 そして「一途(いちず)」は特定の物事や人物に対して、執着している様子やほかの物に脇目も振らず、それだけを見ている様子に使います。

 業績の悪化などの表現としては「一途(いちず)に」とは使わないため、使い分けを心がけましょう。

 方向性が変わる見込みがあるなら使わない

 将来的に方向性が変わり、改善の余地があるのなら「一途をたどる」とは使いません。このままその方向や結果に進むとわかっている表現にのみ「一途をたどる」と使いましょう。

 たとえば業績が回復する兆しがすでにあるのなら、「一途をたどっている」とは言えません。

「一途をたどる」の類義語・言い換え表現

「一途をたどる」は同じ方向へと進み続ける様子を表します。あまり話し言葉として一般的ではないため、周りに意味が伝わりやすいように、状況によっては類義語に言い換えましょう。

 おすすめの類語表現を3つご紹介します。

 「ひたすらに」

 「ひたすらに」は、そのことだけに心を向ける様子を意味します。「一途」と同じく、同じ方向へと向き続ける様を表現できるフレーズなのです。

 特に1つの事に集中し続ける様子や、脇目も振らずに何かに向かって突き進むような、勢いを感じる表現として使われています。

 「留まるところを知らない」

 「留まるところを知らない」は、1つの目標に対して止まらずにゴールへと近づいている様子や、その事に夢中になっている様子を意味します。

 「一途をたどる」が一直線に決められたゴールに進む様子だとすると、「留まるところを知らない」は、ゴールに向かうだけでなく、拡大するようなニュアンスがあります。

 たとえば、「ファンの増加が留まることを知らない」など、以前よりも多くなっている様子や、反対に減少している様子としても使える言い換え表現です。

 「〜する一方」

 「増加する一方」や「減少する一方」など、同じ結果に向けて進み続けている表現として使えるフレーズです。

 「一途をたどる」と意味が近く、話し言葉としても使いやすい表現です。また「今は合格のために勉強に励む一方」といった、精神的な部分にフォーカスした言い回しにも使います。

「一途をたどる」は一方向にひたすら進む様子の言葉

「一途をたどる」は1つの方向に向けて、進み続けている状況を伝える言葉です。

「状況は悪化の一途をたどる」の場合は、ひたすら悪い方向へと進んでいて明るい未来を想像できないといった様子を伝える言い回しです。

 また、「一途(いっと)」は「一途(いちず)」とも読めますが、いずれにしろ特定の物事に対して、集中している様子という点で共通しています。

 漢字が同じで読み方が違うと同時に、「いちず」の場合は特定の物事への執着心として使うフレーズであるため、使い分けに注意しましょう。

文/shiro

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