電通は、大阪大学大学院経済学研究科 勝又 壮太郎 教授とともに、アンケート結果や口コミなどのテキストデータから複数の潜在文脈(※1)を抽出して、本音やインサイトを解釈しやすくする分析ソリューション「MINUKERU(ミヌケル、商標出願中)」を開発。
2024年6月28日から企業・団体向けに、よりスピーディで解像度の高いテキストデータ分析サービスの提供を開始した。
アンケート結果や口コミ解析を解像度高く、スピーディに
これまでも、アンケートの記述式回答や口コミ・カスタマーレビューの内容などを分析する際、頻出キーワードを自動的にランキング化したり、関連性の高いワードを抽出したりするツールは存在していた。
しかし、そこから多種多様な意図や潜在的な文脈を読み解くことは非常に困難であり、しかも時間がかかること、分析者の手腕に依存してしまうことなどが課題となっていた。
一方、「MINUKERU」は、テキストデータから複数の潜在文脈を統計的に、またスピーディに抽出することができるソリューションだ。
<図1:あるエンジニアリング会社の社内意識調査結果>
たとえば、試験的に実施したあるエンジニアリング会社の社内意識調査(図1)においては、「MINUKERU」を使用することで4つの文脈・インサイトが抽出され、膨大な回答データの内容を、より簡便に、解像度高く把握することができた。
また、4つの文脈ごとに回答者の職務満足度などの数値回答のひもづけも可能なため、「どのような人が、どのような意見を持っているか」がわかり、課題に対する効果的なソリューション策定がしやすくなる。
■口コミサイトなど投稿の「内容」と「数値」を掛け合わせる分析に強みを発揮
このソリューションの分析では、勝又 壮太郎 教授が、6月27日にシドニーで行われた世界最大級のマーケティングサイエンスの国際学会「ISMS Marketing Science Conference 2024」で発表した統計モデルを活用している(※2)。
これまでは定性データを主とするテキストデータ分析が多かったのに対して、本モデルでは定性データと定量データを同時に解析できるという特徴がある。
そのため「MINUKERU」は、口コミサイトなど、投稿の「内容」と「数値」を掛け合わせる分析において、特に強みを発揮するという。
さらに、コールセンターの顧客の声や、グループインタビューなどの音声データをテキスト化しての分析やSNS上の投稿分析など、あらゆるテキストデータの解析に活用が可能だ。
今回の発表に際して同社では「今後も電通は、『人』や『インサイト』への理解・深耕を通して、企業のマーケティング活動や組織文化の変革などに貢献していきます」とコメントしている。
※1 膨大なテキストデータの中に潜んでいる、いくつかの話題やテーマ、切り口などのこと。それらをポジティブ文脈・ネガティブ文脈の別も踏まえて分類していくことが可能。
※2 Katsumata, S., & Takahashi, K. (2024, July 27-29). A Combined Topic Model for Unstructured and Structured Data. The 46th ISMS Marketing Science Conference, Sydney, Australia.
関連情報
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0628-010746.html
構成/清水眞希