アマゾン生まれのスーパーフードの筆頭格・アサイー
アサイーとアサイーボウルは混同されることもあるので、ここで解説しておく。
アサイーとはブラジル原産のヤシ科の植物。赤道直下の強い紫外線と強烈な雨といった過酷な環境で育つため、ストレスによる活性酸素と戦う抗酸化物質を多量に蓄積している植物として知られている。抗酸化成分のポリフェノールや食物繊維、身体を作る良質なアミノ酸、ビタミンB1、B2、ミネラル分のカルシウム、鉄、エネルギー源となる脂肪酸のオメガ9などを含む。その栄養価の高さからスーパーフードの筆頭格とされる。見た目はブルーベリーと似ているが甘みはほとんどないため、他のフルーツとミックスしてスムージーやシャーベットなどにして食べるのが一般的だ。
それに対しアサイーボウルとは、アサイーをベースにしたスムージーの上に、フルーツやグラノーラをトッピングしたもの。“ハワイで流行しているおしゃれでヘルシーなフード”として、パンケーキに代表されるハワイの朝食ブームに伴い、日本でも注目されるようになった。
そのアサイーボウルがなぜ今、若い世代にこれほどまでに再注目されているのか。
コロナを経て健康に目覚めたZ世代が、“ダイエットのサポーター”として注目
フルッタフルッタの長澤誠社長によると、10年前のブームと今回のブームとでは、内容が大きく異なるという。10年前のブームを牽引したのは芸能人やモデルなどのセレブであり、紹介される媒体はファッション誌やブログ、美容本。おしゃれなカフェなどで食べるのが一般的だった(そのため中高年の男性の間では認知度が低く、筆者のまわりでも一度も食べたことがないという男性や、存在自体を知らない男性も結構多いような…)。それに対して現在のブームの中心はユーチューブやSNS。美容や健康に関心の高い若いユーチューバーが、自宅でさまざまにカスタマイズして食べている様子が紹介され、そこから人気が広がっているのだという。
長澤社長は現在のブームの背景に、コロナを経たニューノーマルの定着にあると分析する。
「10年前のブームは、セレブ発信の“映える”美容フードであることがポイントだった。だが今回のブームの中心はZ世代で、YouTubeを見ると、ダイエット中に良い代替食という切り口で紹介されていることがほとんど。コロナによるステイホームで体重が増加し、ダイエットへの関心が高まる中、情報収集力が高く“食べないだけの無謀なダイエット”の危険性も熟知しているZ世代に、栄養値が高く健康的にダイエットでき、視覚的にも映えるアサイーボウルが、ニーズにぴったりハマったのでは」(長澤社長)
栄養価の高いスーパーフードはほかにもたくさんあるが、「Instagramブームを経てきているZ世代にとっては、“映える”ことが選択の大前提であり、それもまたアサイーボウルが選ばれた要因だという。また「お家でアサイーボウル」の場合、他のスーパーフードのように調理に手間がかからず、フルーツやグラノーラを盛り付けるだけで手軽に 自分らしくカスタマイズできることも、タイパ重視のZ世代に受けたのかもしれない。