コピーライターが考案した独特の商品名
『5秒で感動!メイクブラシ』シリーズは、各ブラシの商品名が独特。開発者の願いや商品の特長をそのまま商品名にしている。各ブラシの商品名は次の通りだ。
フェイスブラシ:ブラシはいらないそう思う人に使ってほしいフェイスブラシ
チークブラシ:ぜんぜんチクチクしないチークブラシ
アイシャドウブラシ:目のキワまできわめるアイシャドウブラシ
アイブロウブラシ:スッと引けるパッときまるアイブロウブラシ
ファンデーションブラシ:テクニックいらずの立体ファンデーションブラシ
商品名を考案したのは、コピーライターの岡本欣也氏。『からだWelcia・くらしWelcia』のネーミングを担当している。
同社では商品化が決まった後にクリエイティブチームでオリエンテーションを実施。プレゼンの内容を受けて岡本氏が商品のネーミングを考えるという流れになっている。オリエンテーションには岡本氏のほか、ブランド全体を監修し総合的に商品のプロデュースを行なうクリエイティブディレクターの戸田宏一郎氏も出席している。
ブランド名の『5秒で感動!メイクブラシ』も岡本氏の考案。古田さんがプレゼンで「本当に感動するブラシができました」「すごくいいんです」と繰り返し何度も言っていたことが元になった。
各ブラシの商品名は、岡本氏がプレゼンから汲み取った古田さんの思いや商品の良さから考えたものだった。プレゼンで古田さんはどんなことを明かしたのか? フェイスブラシを例にこう説明する。
「パフの代わりにブラシを使うと仕上がりがガラッと変わります。『ブラシはいらない』と思っている人にこそ使ってもらいたい、と力説しました」
残り4本はプレゼンの際に古田さんが強調した商品の良さを元に岡本氏が考案。「商品の良さを語りかけてくれるようなネーミングを考えてくれたと思っています」と古田さんは話す。
メイクアップアーティストも高く評価
発売後はウエルシアグループの公式Instagram、X、LINEも活用し、商品情報や商品の特徴を伝えるようにしたほか、プレゼントキャンペーンも実施。メディアの興味・関心も高く、美容系メディアではサンプルの提供依頼も多々あった。コスメ批評誌ではベストバイや最高のA評価を獲得したものもある。
メディアだけではなく、メイクアップアーティストも高く評価。中には自身のYouTubeチャンネルで自発的にレビュー動画を投稿し、動画内で絶賛した人もいたほどだった。
2024年5月には、5本を1つにまとめたギフトセットを2000個限定で発売した。
ギフトセットを販売することにしたのは、複数本所有してくれる人が多いことがわかったため。SNSでの評判の良さなどから「ギフトとして渡したい」という声も多かったことも理由になった。反応は上々で、追加販売も検討されている。
限定2000個で販売されているギフトセット。対象店舗と公式通販サイト『ウエルシアドットコム』でのみ販売されている。価格は6600円(税込)
ギフトセットを開けたところ。何が収められているかだけではなく商品の特長、使い方のイメージも示されている。ブラシメイク初心者でも迷わず使える配慮がうかがえる
取材からわかった『5秒で感動!メイクブラシ』シリーズのヒット要因3
1.妥協せずつくり込んだ
とくにファンデーションブラシで顕著だが、納得のいくものができるまで発売を見合わせたほど。このほか、ライフテスト時の声を反映して毛先にかぶせる専用カバーをつけることにしたのも、より良い商品にするためのこだわりを発揮した結果といえる。
2.初心者ユーザーを掘り起こした
店頭での訴求やSNSでの情報発信などで、初心者でもキレイに仕上げられることが拡散。当初の狙い通り、ブラシメイクは「難しい」と思い込んでいた初心者にも簡単に使えることが伝わった。
3.印象に残るネーミング
商品の特長や開発者の思いをベースに商品名を考案。商品名としては長めだが、伝えたいことが伝わりやすい印象的なものになった。
SNSでのユーザーの反応などを見る限り、肌当たりや仕上がりの良さに共感してもらえていると同社は分析。より高価なメイクブラシを使っている上級者になると、クオリティーの割に安いと評する声も聞かれる。
ユーザーからは新しいブラシも要望されており具体的なアイデアが寄せられているほか、スライド式の携帯用の要望も強い。ラインアップは今後拡大してく予定だという。
文/大沢裕司