入社3年目に訪れた「試練」
研修期間を終えて、番組を担当してからは、意外なロケにも沢山行かせてもらっています。
朝5時〜夜11時まで海老名サービスエリアに来るお客さんにインタビューし続けた密着企画や、朝決まった有人島に向かってその夜に泊まる宿と食事まで自分で交渉をした島ロケ、気合で完食した超激辛料理ロケや、気合ではどうにもならなかった4.5kgのチーズパイにラムチョップと燻製ポテサラとムール貝が沢山盛り付けられた大食いロケ(商品名はありませんでした笑)、荒波の中船の上で1度も立ち上がることができなかった定置網漁…挙げたらキリがありません。
こういうのもアナウンサーの「意外な仕事」ですかね。
プロ野球の始球式では、卓球金メダリスト・水谷隼さんにストレートを打ち返されましたし、高校野球で母校が出場すれば甲子園に行って新聞に手記を掲載させてもらいました。
サウナ本に好きなサウナについて書かせてもらったことも嬉しかったですし、
地元や母校での講演、また、こうしてコラムを担当させてもらっていることも、非常にありがたい仕事の1つです。
その中でも、強烈な記憶として残っているのは、ヒルナンデス!(毎週月~金:ひる11時55分~1時55分放送)を担当していた3年目のとある1週間。
ヒルナンデス!は、出演者とスタジオのお客さんが一緒に楽しむ生放送スタイルなのですが、そのお客さんをオンエア前に盛り上げる”前説”を、月曜〜金曜まで1週間やったことです!
当時、通常の前説はプロの芸人さんが漫才やコントを披露され、その中には後に年末の大会でグランプリに輝いた方も担当されていたことを覚えています。
ただ、何故かその1週間はどなたもいらっしゃらず、さらに何故か「来週は5日間、梅澤行ってこい」となったわけです。
頭は真っ白。
顔は真っ青。
お先は真っ暗。
意外も意外すぎて、土日も全く気が休まらなかったことを覚えています。
迎えた月曜日、本番前の5分くらいだったでしょうか?5時間くらいに感じましたが、大袈裟でなく1秒も笑いが起きませんでした。
穴があったら入りたいなんてレベルではなく、その穴にずっと埋まっていたいとこちらも大袈裟ではなく本気で思いました。
オンエア前の空気を良くしないといけなかったにも関わらず、南原さんをはじめとする出演者の方、何より目の前のお客さんに本当に申し訳なかったと、6年経った今も猛省しています。
あの時、観覧席に来て下さった方の貴重な5分間を丁寧にお返ししたいです。
『ヒルナンデス!』では様々な経験を積んだ梅澤
火曜日、丸腰で前説をする力なんて今の自分には到底ないと悟った僕は、スケッチブックを用意しました。徹夜で絵を描いて行った成果が少し表れて3秒くらい笑ってもらえました。この3秒はとても短く感じましたが、最高に嬉しかったことを覚えています。
それでも、1人で戦う姿があまりに頼りなかったのか、その日は火曜レギュラーの皆さんが前説のコツを教えてくれました。
お客さんと沢山会話すること、スケッチブックの使い方、絵を出すタイミングと話の順番…泣くほど嬉しかったです。
こちらも、6年経った今も心から感謝しています。
アドバイスを胸に向かった水曜、木曜と、お客さんの表情が変わっていき、金曜日には自分でも楽しく、お客さんと笑い合えるように変わりました。
自分自身でも不思議な経験でしたし、任せてもらえたことを今では有り難く思っています。今では…です。
当時は家から出ないでおこうかと思いました(笑)
アナウンサーも一人の会社員、経験が一人前にする
振り返ると毎日が刺激的で、10年前、インターンイベントに参加していた時にはどの仕事も予想していませんでした。
今回のイベントでは他にも、皆でアナウンサーの発声練習をやってみよう!と、
「あ、え、い、う、え、お、あ、お!」と、一緒に声も出したのですが、これは日本テレビアナウンス部の研修では毎日やっていること。
更に、ニュースの原稿読みにも挑戦してもらいました!
参加してくれた学生の皆さんのボリュームが後半になるにつれて上がっていたのが印象的で、最初は緊張して上手く声が出せなくても、立ち方、呼吸を意識して、最後に「窓の方を向いて、声で東京タワーを倒すようにー!」と言うと、素晴らしい声が。
1年目の時、同期の佐藤真知子アナウンサー、滝菜月アナウンサーと、同じ様な声出しを一緒にしていたのは、つい昨日の様に感じます。
いや、写真を見るときちんと昔ですね。
現役アナウンサーとして、アナウンサーという職業に興味を持ってくれることは、この上なく嬉しく思います。
テレビに映る部分が注目されることの多いアナウンサーですが、一人の会社員です。
家でも野球中継を見てはスコアを付け、芸人さんのライブDVDを買ってはお笑いの勉強をし、外食をしては食リポの練習をして、共演者の番組は全てチェックする…そして本番を迎えて、成功も失敗も沢山経験する。
アプローチこそ違っても、全てのビジネスマンと同様に、自分を成長させるために日々自ら動いて研鑽を積むことが必要だと感じています。
ぜひ、今回のイベントはタイミングが合わなかったという学生の方も、来年また日本テレビに来て下さい!
一緒に声を出しましょう!
思わず答えに苦しむような沢山の「意外な」質問も、お待ちしております。
文/梅澤廉