アニメ、ゲーム、ラノベ…各分野での絵師の仕事の違いとは?
そもそも、へちまさんが最初に絵に熱中したのは小学生の頃。当時はアナログでマンガを描いたりデジタルでイラストを描いていたそうだが、高校の頃に本格的にその道に進もうと決意。武蔵野美術大学の映像学科に進学したという。
「当初はアニメーターになろうと思っていたわけではないですが、大学で知り合った仲間と自主制作アニメを制作してるうちにアニメ業界を志望するようになっていきましたね」
――大学在学中にはマンガ家デビューも果たされたとか?
「大学ではマンガ研究会にも入っていて、当時、pixivのイラストを見た編集さんから声をかけていただき、まんがタイムきららMAXで『ぱぺっとコール!』を連載していました」
大学卒業後はアニメ制作会社「タツノコプロ」に所属し、様々なアニメの原画を担当。また、他スタジオに出向し、OVAやゲームのムービー制作にも参加した。
それと並行してマンガの連載も始まり、多忙な日々を送っていたという。
そんな中、「日清どん兵衛CMのディレクション」というお仕事も。
「どん兵衛のCMでは内容や展開など先に決まっている要素も多かったので、自分たちの任されている部分は“ひたすらどんぎつねを可愛く魅力的に見せること”だと考えて、そこに注力しました。短い尺でしかチャレンジできないような手の込んだ処理(瞳や画面作り)も盛り込みました」
近年は、VTuber /バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の『にじフェス2023』イメージビジュアルやVtuber白傘くらげさんのデザイン、またライトノベルの書籍イラストなどその活躍は多岐にわたる。
「ラノベは学生の頃からたくさん読んでいたので、ラノベのイラストを描けるのはすごく嬉しかったです。物語をもとに1からキャラクターを考えていく工程も面白いんですよね」
――アニメとイラストで絵を描くときの違いは?
「アニメは分業なので後工程の人が作業しやすいようにということや、全体の中でどういうシーン、役割のカットかということは最低限考えつつ、あまり1枚1枚の絵にこだわりすぎないようにしています(終わらないので・・)」
「イラストの方はお客さんの年齢層や作品・企画の趣旨によってポップさと情緒感のどちらを優先させるか考えています。その辺は自分で判断していい時もありますし、指定がある場合はなるべくそれに沿うように描くようにしています」
――「絵師」として活躍するために大事なことは?
「自分の場合たまたまなりゆきでお仕事になった側面が強いので、本当に何も偉そうなことは言えませんが…、そして『現代の』という括りには当てはまらないかもしれませんが、絵を描くことが苦じゃなくて、ずっとやっていられるという方ならきっと何かの芽が出るんじゃないかなと思います」
「思ったように描けない、苦しいと思うこともしょっちゅうあるのですが、今のところ辞めずにやっているのは、自分はやっぱり絵を描くこと自体が楽しいと思えてるからなのかなと思います」
――今後やってみたいお仕事を教えてください
「キャラクターを生み出す仕事はやりがいもありますし楽しいので機会がある限りは続けていきたいなと思っています。またお話し作りにも以前から興味があり、仕事としてどういう関わり方がありうるのかも含めて色々模索中です」
へちまさんX @hechima10040
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文/太田ポーシャ