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「相違ございません」とは、両者に違いがないことを伝える表現です。関連する表現に似ているものの意味の異なる言葉があるため、使い方に迷うケースがあるでしょう。
この記事では、「相違ございません」の意味、使い方・例文、使用する際のポイントを解説します。あわせて類語・言い換え表現も確認しましょう。
「相違ございません」とは?基礎知識を解説
「相違」の読み方は「そうい」です。「相違ございません」はかしこまった場で相手への同意を示すときに用いられる言葉で、ビジネスでも使われています。
「間違いございません」も、似たような使い方をされる言葉です。しかし、実はそれぞれのフレーズで意味に違いがあるため、使い分けに注意が必要です。
それでは、言葉の意味や「間違い」「齟齬」との違い、使い方・例文、用いる際のポイント、二重敬語などを確認しておきましょう。
■意味は「両者の間に違いがないこと」
「両者に違いがない」と丁寧に伝えるフレーズが、「相違ございません」です。
「相」とは「互いに」を指し、「相違」とは「互いの間に差があること」「一致しないこと」を意味します。
否定文にした場合には、「2つのものを比較して互いの間に差がないこと」「互いが一致すること」という意味です。
■「間違いございません(ありません)」との違い
「間違いございません(ありません)」も似たような意味で使われます。しかし、ニュアンスが異なることに注意が必要です。
「間違いございません」は、誤りがないと伝えるときに用いるフレーズです。
一方、「相違ございません」を用いた場合は、2つを比較する必要があります。
つまり、以下のような使い分けが必要です。
・間違いございません……誤りがあるかどうかを判断する場合
・相違ございません……比較対象との違いがあるかを伝える場合
話の流れによっては、どちらを使っても問題ない場合もあります。
■「齟齬」と「相違」の違い
混同されやすい言葉に「齟齬(そご)」もあります。「齟齬」と「相違」にも違いがあるため、確認しておきましょう。
「齟齬」とは、「食い違い(くいちがい)」「噛み合わない」、また「それらによって物事が思い通りに進まない状態」を指します。「齟」は「噛み合わない」、「齬」は「食い違う」という意味がある漢字です。
つまり、「齟齬」と「相違」で表すものには、以下のような違いがあります。
・齟齬……論点などが噛み合わず、話がうまく進まないような状態
・相違……2つを比較して明確な違いがあること
ビジネスシーンなどでの使い方・例文
ビジネスシーンなどでの使い方を、例文で簡単に確認しておきましょう。
■例文
・そのような認識で相違ございません。
・契約内容と相違ございませんか。
・以下の内容で相違ないか、ご確認のうえご連絡をお願いいたします。
・ご指摘の内容に相違ございません。
・ご指摘いただいた点ですが、再度確認したところ、事実と相違ございませんでした。
このように、同意・賛同を表現したい場面や確認を依頼したい場面、謝罪をする場面などで用います。
謝罪をした際は、「恐れ入りますが、訂正したものを送付させていただいてよろしいでしょうか?」などとつなげましょう。
■「相違ございません」を用いる際のポイント
「相違ございません」を用いる際には、以下のようなポイントに注意しましょう。
・目上の方に対して使うこと
・意味を誤解されないように用いること
かしこまった場面で使えるフレーズで、上司や取引先などに伝える場合は適しています。しかし、同僚や部下相手の場合には丁寧すぎて適さない表現です。同僚や部下相手ならば、「相違ない」「相違ありません」などの表現を用いると良いでしょう。
また、相手に前後の内容を説明せずに伝えると、いったい何との相違がないのかがうまく伝わらないことがあるため注意してください。
■「相違ございませんでしょうか」は二重敬語なので注意!
「相違ございませんでしょうか」は、よく使われている表現です。しかし、実は二重敬語にあたるため、使い方として正しくないとされています。
二重敬語とされる理由は、以下の敬語表現が含まれているためです。
・「ある」の丁重語の「ござる」
・丁寧語の「ません」
・丁寧語の「でしょうか」
このように、丁寧語を2つ重ねてしまっている状態です。同じ種類の敬語表現を重ねているため、二重敬語にあたるのです。
相手に確認する際は、「相違ございませんか」を用いましょう。
「相違ございません」の類語・言い換え表現2つ
「相違ございません」の類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
1.おっしゃる通りでございます
2.ごもっともでございます
このほか、「ご指摘の通りです」「ご理解の通りです」「異存ございません」「その通りでございます」なども、言い換え可能な表現です。
それでは、「相違ございません」の類語・言い換え表現の意味などを解説します。
■1.おっしゃる通りでございます
「おっしゃる通りでございます」とは、「あなたの言う通りです」を丁寧に伝える表現です。「おっしゃる」とは「言う」の尊敬語です。
「おっしゃる通りでございます」は、相手の発言や指摘を「そのとおりだ」と認めるもので、相づちを打つときにも使えます。ただし、使いすぎると相手に不快感を与えてしまう恐れがあるため、何度も繰り返し使わないように注意しましょう。
■2.ごもっともでございます
「ごもっともでございます」は、「相手の意見が理にかなうこと」を伝える敬語表現です。「もっともです」と伝える場合もあります。
「もっとも」の意味は「当然のことであること」です。「ごもっともでございます」は、相手の話した内容に同意し、理にかなっていると伝えるときに用いましょう。
「相違ございません」を適切に使おう
「相違ございません」は、「両者の間に違いがないこと」を丁寧に伝えるフレーズです。「間違いございません」と似たようなシーンで使われているものの、それぞれの意味には違いがあることを理解して使い分ける必要があります。
「相違ございません」を用いる際には、「目上の方に対して使うこと」「意味を誤解されないように用いること」に注意しましょう。
使い方の例や用いる際のポイント、類語・言い換え表現などを確認し、適切に伝えられるようになりましょう。
構成/chihaya