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ビジネスなどで相手に何かを依頼したいとき、失礼にならないか不安を感じるものでしょう。「ご多忙とは存じますが」は、相手の状況を気遣いつつ自分の依頼を伝えられる表現です。
この記事では、「ご多忙とは存じますが」の意味、使い方・例文、用いる際に注意するポイントを解説します。あわせて類語・言い換え表現も確認しましょう。
「ご多忙とは存じますが」とは?基礎知識を解説
「ご多忙とは存じますが」とは、相手が忙しい状況であることを慮(おもんばか)る気持ちを表現できるフレーズです。うまく用いると、文章をかしこまった印象にしつつ、自分が相手に依頼したいことを伝えやすくなります。
それでははじめに、「ご多忙とは存じますが」の意味や使い方・例文、注意すべきポイントを確認しておきましょう。
■意味は「非常に忙しいでしょうが」
「ご多忙とは存じますが」の意味は、「非常に忙しくて大変でしょうが(何とかお願いしたい)」です。非常に忙しい相手の状況への理解を示しつつ、それでもお願いしたいという自分の思いを伝えられます。
「ご多忙」は、「多忙」という単語に丁寧語の「ご(御)」をつけた表現です。読み方は「ごたぼう」で、「御多忙」と漢字表記する場合もあります。「ご多忙」の意味は「何かと忙しくしている様子」などです。
また、「存じます」は「知っています」「思います」の謙譲語表現です。
■ビジネスシーンや手紙での使い方・例文
それでは、「ご多忙とは存じますが」の実際の使い方を、ビジネスシーンや手紙を想定した以下の例文で簡単に確認しておきましょう。
・「~ご協力のほどお願いいたします」
・「~時節柄ご自愛ください」
・「~ご返信よろしくお願い申し上げます」
ビジネスシーンでは、相手にどうしてもお願いしなければならなくなることがあるものです。自分の依頼を伝える際に「ご多忙とは存じますが」というフレーズを上手に活用し、依頼相手に丁寧な印象を与えると良いでしょう。
・「~ご協力のほどお願いいたします」
たとえば、「ご多忙とは存じますが、ご協力のほどお願いいたします」などと用います。「ご協力」は、「協力」に「ご」という接頭語をつけた丁寧ないい回しです。協力とは、「力を合わせて努力すること」などを意味します。
「のほど」とは、断定を避けることで表現を和らげるフレーズです。
また、検討をうながしたいときには、「~ご検討のほどよろしくお願いいたします」と伝えます。
・「~時節柄ご自愛ください」
「ご多忙とは存じますが、時節柄ご自愛ください」「ご多忙とは存じますが、どうぞご自愛ください」と相手に伝えることもあります。この使い方の場合は、相手の体調や健康を気遣うフレーズです。
「あなたが非常に忙しいことは理解しているけれど、ご自身のお体を大事にしてくださいね」という思いを伝えられます。
なお、「お体をご自愛ください」と用いるのは、「頭が痛い」のような状態です。「ご自愛ください」だけで「ご自身のお体を大事にしてください」という表現になるため、意味が二重にならないようにしましょう。
・「~ご返信よろしくお願い申し上げます」
「ご多忙とは存じますが、ご返信よろしくお願い申し上げます」もよくあるフレーズです。目上の方からの返事を促したい場合に、「ご多忙とは存じますが」とつけることでやわらかいニュアンスでリマインドの連絡ができます。
「ご多忙とは存じますが」は、このようにメールや文書などの文面で書き言葉として使用することが多い表現です。
■伝える際に注意すべきポイント
「ご多忙とは存じますが」と伝える際は、以下のポイントに注意しましょう。
・相手の手が空いているときは基本的に使用しない
・目上の方に対して使う
・冠婚葬祭では使用しない
もしも、相手がまったく忙しくないときに「ご多忙とは存じますが」を用いると、逆に嫌味のようになって失礼に思われてしまう恐れがあります。
目上の方に適したフレーズのため、自分の同僚や部下には使わないこともポイントです。また、「多忙」という漢字に「亡」が含まれているため、冠婚葬祭では使用しないように気をつけましょう。
「ご多忙とは存じますが」の類語・言い換え表現
「ご多忙とは存じますが」のように、相手が忙しい状態であることを慮(おもんばか)る表現は複数あります。たとえば、以下のようなものです。
1.ご多用とは存じますが
2.お忙しいところ恐れ入りますが
これらのほかに、「ご多忙の中」「ご多忙の中恐縮ですが」「ご多忙の折、大変恐縮ではございますが」「お手数をおかけしますが」「お手数をおかけして恐縮ですが」なども、言い換えが可能な表現です。
それでは、「ご多忙とは存じますが」の類語・言い換え表現をさらに詳しく解説します。
■1.ご多用とは存じますが
「ご多用」の読み方は「ごたよう」で、「ご多忙とは存じますが」と言い換えられることの多い表現です。
ご多用とは「用が多い」ことを指します。つまり、「ご多用とは存じますが」とは「用事が多くてお忙しいとは思いますが」という意味を持つ表現です。
「ご多忙とは存じますが」とほぼ同じような意味であり、「ご多忙」とは違って忌み言葉にはあたりません。もしも冠婚葬祭で同様の内容を伝えたい場合には、「ご多用とは存じますが」を用いるようにしましょう。
■2.お忙しいところ恐れ入りますが
「お忙しいところ恐れ入りますが」「お忙しいところ恐縮ですが」も、ほぼ同様の意味で使える表現です。「お忙しい中、(このようなお願いをして)申し訳ありませんが」という気持ちを伝えられます。
「お忙しいところ」は、相手が時間を費やしてくれたことを申し訳なく思う、謙虚な気持ちを表すフレーズです。また、「恐れ入りますが」は「すみませんが」よりもさらに丁寧な印象を与えます。
「ご多忙とは存じますが」を適切に使おう
「ご多忙とは存じますが」とは、「非常に忙しくて大変でしょうが」と理解を示しつつ、何とかお願いしたい気持ちを伝えられるフレーズです。
使用する際は、以下のポイントに注意しましょう。
・相手の手が空いているときは基本的に使用しない
・目上の方に対して使う
・冠婚葬祭では使用しない
冠婚葬祭の場合は、似た意味を持つ「ご多用とは存じますが」という表現に言い換えると良いでしょう。
伝え方の例や伝える際に注意すべきポイントなどを確認し、適切に使えるようになりましょう。
構成/chihaya