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「お休みさせていただきます」は、休みの連絡の際に使用される表現です。ビジネスシーンでもよく用いられていますが、敬語表現として正しいのか、確認しておきたい方も多いでしょう。
この記事では、この表現が正しいのか、言い換え可能な表現、お休みをいただきたいときの例文、注意点を解説します。
「お休みさせていただきます」は正しい?基礎知識を解説
体調不良により仕事を休みたいときには、勤め先の企業などに欠勤の連絡をしなければなりません。このとき、電話で職場の上司などに「申し訳ありませんが、お休みさせていただきます」などと伝える方が多いでしょう。
ただし、「お休みさせていただきます」という表現は、どこか間違っていないのかと引っかかりを覚える方もいるいい回しです。
それでは、敬語として適切な表現なのか、またビジネスシーンで使用できる正しい言い換え表現を確認しましょう。
■「お休みさせていただきます」は敬語として不適切な表現
ビジネスシーンでもよく使われている「お休みさせていただきます」というフレーズは、実は敬語として不適切な表現です。
不適切だとされる理由は、「自分が主体となる行為に対して敬意を示しているため」です。「お休みさせていただきます」の「お休み」は、その対象が自分であるにもかかわらず「お」がついています。
「お~する」は動作の対象者への敬意を表すフレーズです。そのため、連絡した相手ではなく自らを敬っている状態になってしまい、敬語として適切ではないのです。
また、まだ相手の許可をとっていない状態で「~させていただく」を用いることも不適切だといえます。かえって失礼になってしまう恐れがあるため、相手の許可や承認が必要な場合に「~させていただく」を用いるときは注意しましょう。
■ビジネスシーンで使用可能な正しい言い換え表現2つ
あわせて、実際に職場などに連絡する際に使用できる正しい言い換え表現を確認しましょう。
1.お休みをいただきます
2.お休みをいただいてよろしいでしょうか
これらのほかに、「休暇をいただきます」「休みをいただきます」なども使用可能です。それでは、正しい言い換え表現をさらに詳しく解説します。
1.お休みをいただきます
「お休みをいただきます」は、正しい言い換え表現のひとつです。
こちらにも「お休み」という表現が含まれています。しかし、この場合は動詞ではなく名詞として用いているため、動作に対する敬意を表す言葉ではなく「お休み」という美化語です。
つまり「お休みをいただきます」は、自らの動作を敬っている状態ではありません。そのため、「お」をつけても問題ないと考えられるでしょう。
2.お休みをいただいてよろしいでしょうか
「お休みをいただいてよろしいでしょうか?」も、名詞として「お休み」のフレーズを用いている表現です。この場合の「お休み」は美化語として扱われるため、「お」をつけても誤用ではないといえます。
「お休みさせていただきます」や「お休みをいただきます」というフレーズは、自分の意思を直接的に伝える表現です。とはいえ、休みたいと思っていても自分の意思だけで決定できるものではありません。
「お休みをいただいてよろしいでしょうか?」は、相手にお伺いして許可を確認する表現です。このフレーズであれば、「休みます」とはいいにくい場合であっても、相手に伝えやすくなるでしょう。
お休みをいただきたいときの伝え方
お休みをいただきたい場面には、ビジネスシーンだけでなく子どもの幼稚園や保育園、学校などへ連絡するシーンもあります。
ここからは、それぞれのシーンにおける相手への伝え方の例を確認していきましょう。また、休みたいことを伝える際に注意すべきポイントも、あわせてご紹介します。
■相手への伝え方の例・ビジネスシーン
急に仕事にいけなくなって勤務先の会社に連絡を入れる際は、以下のように伝えます。
・申し訳ありません。母が倒れて入院したと先ほど実家から連絡がありました。恐れ入りますが、本日お休みをいただいてよろしいでしょうか?
・昨日の晩から熱が上がり、今朝になっても回復しません。申し訳ありませんが、本日はお休みをいただきます。
このように、「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」などのクッション言葉を組み合わせて用いると、休みたい意志を表しつつも謝罪の気持ちを伝えられます。
また、事前に休みたい日にちがわかっている場合には、以下のように伝えましょう。
・私用のため、7月20日に休暇をいただきます。
■相手への伝え方の例・幼稚園や保育園
子どもの体調が悪い場合には、幼稚園や保育園などへの連絡も必要です。この場合は、以下のように伝えましょう。
・昨日から子どもの調子が悪いため、本日は保育園を休ませることにします。
・雪で送迎が心配なため、恐れ入りますが本日はお休みをいただきます。
幼稚園や保育園などは、親の都合で休ませる場合もあるものです。もしも休みの予定がわかる場合には、あらかじめ休みの連絡を入れておきましょう。
■伝える際に注意すべきポイント
休みたいことを伝える際は、以下のポイントに注意すべきです。
・事前に予定がわかっていれば、なるべく早く休みたいことを伝える
・引き継ぎするべきことがある場合は伝えておく
・当日休みたい場合、基本的には電話で連絡する
体調不良などで当日急に仕事にいけなくなった場合には、基本的には電話で連絡します。遅くとも始業の15分前には連絡すると良いでしょう。
もしもメールでの欠勤の連絡が許可されている会社であれば、会社の指示に沿って連絡します。メールで連絡する場合には、件名に「体調不良による欠勤の連絡」と入れるなど、相手に伝わりやすいようにしましょう。
お休みをいただきたいときは適切に伝えよう
「お休みさせていただきます」というフレーズは、ビジネスシーンでもよく使われています。しかし、「自分の行為を敬っていること」「許可を得ていないのに~させていただくの形をとっていること」の2つの理由により、実は敬語として不適切な表現です。
休みをとりたい場合には、「お休みをいただきます」「お休みをいただいてよろしいでしょうか」などのフレーズを用いると良いでしょう。
伝え方の例や伝える際に注意すべきポイントも確認し、適切に伝えられるようになりましょう。
構成/chihaya