電通は、ストーリー起点で未来へと続くブランド体験を生み出す空間デザインチーム、「場と編集」を立ち上げ、2024年6月20日よりサービス提供を開始した。同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
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経済合理性だけでなく、行動経済学的な視点にも注目
多くの企業や団体にとって、循環型・持続可能な事業成長を目指すという「総論」には賛同が得られるものの、実際に、株主・顧客・従業員・取引先・地域住民など多くのステークホルダーの意見を調整しながら、そのシフト(転換)を実現する「各論」になるほど合意が難しくなるという課題が存在している。
例えば「環境に良い素材の商品に変えたいが、顧客はそのコストアップを受け入れてくれるのか」といった事項だ。
この課題を解決するために、「場と編集」は、人間が意思決定に際し、経済合理性だけでなく、その時々の感情の影響を受けて行動したり、自分らしい価値観を表す高価なブランドを大切にしたりする、という行動経済学的な視点に注目。
同社では「『場と編集』はコミュニケーションを戦略的に活用することで、仮に持続可能なサービスや商品が高価であっても、それを選びたいと感じるアプローチを実現していきます」と説明している。
「場と編集」のサービス概要
「場と編集」は、リアルな「場」と「体験」を重視し、ストーリー起点とサステナブルな視点でブランドをデザインする専門チームとなる。
体験の設計においては、「日本らしい価値観」を大切にしている。「草木を愛で、自然と共に生きる」「自然の恵みで、健やかに過ごす」「無駄なく使い、余ったものはお裾分け」「良いものを作り、丁寧に長く使う」「質素なものにも、美と幸せを見いだす」「自分だけ良ければいい、今だけが良ければいいとは考えない」このような価値観は、グローバルで先行する持続可能な社会の実現にあたり「指針」となるものであると同時に、古来日本に根付いており、経済合理性とは異なる「場の力」で多くのステークホルダーの意思決定の「指針」となることが期待できる。
サービス領域となる「場」は、店舗、商業施設、イベント、公園、図書館、ホテル、車両、オフィス、蒸留所など多岐にわたり、その企業や団体が持つ歴史・文化・自然観・伝統などを重視し、それを今の時代にあわせて「編集」を行なう。
説明・説得という形ではなく、造形、音、味、香り、手触りなどで感覚的に伝わる状態を理想に掲げる。
同社では「『場』を中心にした仲間づくり、さらには『場』が完成した後、世の中にどう見せるか(PR戦略)や、コミュニティ(ファン・推し)の構築支援など、構想から実行までを、サステナビリティ、ブランディング、空間デザインのエキスパートが一体となってサポートします」とコメントしている。
■「場と編集」メンバーの過去の取り組み事例
関連情報
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0620-010741.html
構成/清水眞希