好きなことを続けるためにやらないといけない仕事もある
玉川 「好きなことを仕事にしている」からこその苦労はありますか?
佐藤 ECサイトの事業を継続するためには、資金調達や商談をはじめ「やりたくなくてもやらないといけないこと」がたくさんあります。12〜13種類のスイカを食べ比べられるスイカパーティーを定期的に開催しているのですが、そのような販促や情報発信などの活動も、積極的に行なわなければなりません。それに私のECサイトでは、本当においしいと思うスイカだけを扱うことを信条にしていることから、出店を希望されてもお断りしなければならないつらさもありますね。
玉川 佐藤さんのように好きを仕事にしたい人へ、メッセージをお願いします。
佐藤 自分の考えが理解されず「スイカだけでは事業として成り立たない」と忠告されたこともあります。でも、自分が好きなことだったら、何を言われても意外と平気なものです。最初は不安でしたが、いざやってみたら好きなスイカで生計を立てられる仕事は実に楽しい。僕は好きなアーティストの曲名から「WagaMama」(=わがまま)を社名にしました。自分を信じて、好きなことを仕事にする〝わがまま〟を貫いてみたら、人生はもっと楽しいはずだと思います。
大好きなスイカだからこそ妥協せずに審査する!
「あまいスイカ」の〝甘くない〟チェック体制
佐藤さんが運営するECサイトでは「甘さ」と「おいしさ」にこだわり、2回の厳しい審査で出店するスイカ農家を厳選。1次審査はスタッフによる試食で、食味、糖度、香り、肉質や見た目の状態をチェックする。2次審査は畑での対面調査。生育中のスイカや、畑の状況を確認し、農家のこだわりや、顧客を大切にできるかどうかもヒアリングする。
【今回のまとめ】
今回の取材で一番響いたのは「まさかスイカが仕事になるとは!」ということ。佐藤さんのスイカ愛が伝わってきました。とはいえ、決して行き当たりばったりではなく、まずWebエンジニアになり、ECサイトの制作や運用、効果的な広告出稿についてもキチンと勉強されました。好きを仕事にする手順が具体的で、非常に参考になります。
佐藤さんのように5年ほど費やして準備を進めれば、30〜40代の読者はもちろん、定年間近の人でも、好きを仕事にできる可能性は十分あります。
特に65歳からは年金がもらえるので、多くの人はそこまで稼がなくても十分のはず。そのことも考慮しながら、好きを仕事にする準備を、今からでも始めてほしいですね。
知恵と工夫次第で仕事にならなそうなことも仕事にできる!
玉川徹さん
テレビ朝日系朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』のレギュラーコメンテーター。2024年4月からはパーソナリティーを務めるレギュラー番組『ラジオのタマカワ』(TOKYO FM/毎週木曜日11:30~13:00)が始まった。
取材・文/柿川鮎子 撮影/湯浅立志(Y2)