KADOKAWAが外部からの不正アクセスによってサイバー攻撃を受け、「ニコニコ動画」やオフィシャルサイトのサービス停止に追い込まれています。KADOKAWAは情報漏洩の有無についても調査を進めると発表しており、更なる被害の拡大も視野に入ります。
「ニコニコ動画」を運営するドワンゴは、6月14日に復旧までに1ヶ月以上かかる見込みと発表しました。
今期(2025年3月期)は「ニコニコ動画」を含むWebサービスセグメントで増収を予想していました。見直しを迫られる可能性もあります。
6月14日に「復旧には1か月以上かかる見込み」とのリリースを出した
アニメと実写映画のヒットで減収から一転して増収に
サイバー攻撃による被害は長期化の様相を呈してきました。気になるのは業績への影響。サイバー攻撃の被害の範囲と期間が見えないため、正確な予想をすることはできません。しかし、直近の業績と今期の見通しから、その片鱗が見えてきます。
まず、前期(2024年3月期)の業績を振り返ります。KADOKAWAの売上高は前期比1.0%増の2581億円、営業利益は同28.8%減の184億円でした。売上高は微増でしたが、期首予想は減収を見込んでいました。
※決算短信より筆者作成
増収へと寄与したのがアニメ・実写映像事業。この事業は2024年3月期に0.3%(1億円)の増収を予想。しかし、実際には6.4%(27億円)の増収となりました。
主力の出版事業は3.1%(43億円)の増収予想だったものの、着地は1.4%(20億円)の増加に留まりました。出版は苦戦とは言えないまでも、計画しているような成果を出すことができていません。
アニメ・実写事業は、KADOKAWAのヒットIPを実写映画化した「わたしの幸せな結婚」、北野武監督の「首」などのヒット作に恵まれたほか、アニメグッズの販売によるライセンス収入も増収に寄与しています。