目次
「有志」とは?意味と類語をチェック
冠婚葬祭や職場の飲み会、社内イベントなど、『有志(ゆうし)』はさまざまなシーンで使われる言葉です。シチュエーションに応じて正しく使えるように、意味や類語をおさらいしましょう。
■同じ物事への関心・目的がある人のこと
有志とは、ある物事に関心があり、関わろうとする意志があること、またはその人を指します。また、ある団体の構成員のうち、同じ目的や意思、意見を持って何かを実現しようとすることを指すケースもあります。
有志というと、同じ目的意識を持つ仲間をイメージする人もいますが、必ずしも複数人とは限りません。たった1人でも、ある物事に関わろうとする意志を持っていれば、有志と表現できます。
有志の『志』は、訓読みで『こころざし』と読みます。意味は、心がある目的・目標に向かって動くことです。
■「有志」の類語と例文を紹介
有志の類語には、『希望者』『志願者』『篤志家(とくしか)』などが挙げられます。希望者は『ある物事を願い望む人』、志願者は『自らの意思で願い出る人』です。
篤志家とは、『奉仕活動や慈善活動に熱心な人』を指します。有志は、奉仕活動や慈善活動に限らないため、意味合いがやや異なる点に留意しましょう。
【例文】
- 近年は、若年層を中心に転職希望者が増えている
- 教育現場の長時間労働が改善されない限り、教員志願者の増加は見込めない
- 東京都在住の篤志家から100万円を寄付していただいた
■「ボランティア」とはどう違う?
ボランティアは、奉仕活動や社会貢献を行う人を指します。
有志は、ある物事に関心を持っている人や集団を意味するため、ボランティアも有志に含まれるといってよいでしょう。ボランティアは無償が基本ですが、有志は無償・有償を問いません。
また、有志の英語訳は『volunteer』です。volunteerには、ボランティアのほかに、有志・志願者・篤志家などの意味があります。英語のvolunteerは、日本語のボランティアよりも幅広い場面で使えます。
「有志」の使い方や例文
有志の意味は知っていても、いつ・どのような場面で使えばよいのかが曖昧な人も少なくありません。例文を見ながら、使い方を確認しましょう。
■贈り物や飲み会などで使われる
一般的には、ある物事に賛同する人が集まるときに使われます。例えば、同じ職場に退職者がいる場合、関係者がお金を出し合ってささやかな贈り物を用意する場面があるでしょう。メッセージに『有志より』と書き添えれば、職場の全員からではないことを示せます。
また、職場や大学のサークルでは、有志の飲み会や有志のランチ会が開かれることがあります。この場合の有志は、希望者と同義です。会社や学校が主催する親睦会と違い、一部の気が合う人や参加したい人だけが集まります。
■「有志」を使った例文
有志は、書き言葉と話し言葉の両方で使えます。よく使われるのは、『有志を募る』『有志が集まる』『有志の寄付』などのフレーズです。例文をチェックしましょう。
【例文】
- 自社の商品をアピールするため、社内で有志を募ってライブ動画配信を行う
- 社内報に情報を掲載したところ、自分を含めて10人の有志が集まった
- 有志のスタッフが定期的に高齢者の自宅を訪れ、安否確認や声掛けを行っている
- 有志の寄付によって町立図書館が設立された
香典やご祝儀における「有志」の書き方
有志は、香典やご祝儀の表書きにも使われます。特に、冠婚葬祭をはじめとするフォーマルなシーンでは、言葉の使い方を間違わないようにしましょう。有志の書き方と注意点を解説します。
■「有志一同」は誤った使い方
表書きや贈り物のメッセージに『有志一同』と書く人もいますが、実は正しい使い方ではありません。有志には『人々』という意味が含まれているため、『居合わせた人々』や『全員』という意味の一同を使うと、二重表現になってしまうのです。
実際のところ、有志一同と表記する人は多く、使い方を間違えたからといって、相手に失礼に当たるとまではいきません。ただし、フォーマルなシーンでは、正しい言葉の使い方を意識した方がよいでしょう。
■表書きに「◯◯有志」と記載
香典やご祝儀の表書きは、『〇〇有志』または『〇〇一同』とします。例えば、お世話になった先生に卒業生がご祝儀をするときは、『〇〇学校卒業生有志』や『◯◯学校卒業生一同』と書きましょう。職場であれば、『〇〇会社〇〇課有志』や『〇〇会社〇〇課一同』とするのが一般的です。
有志と一同には、若干の意味の違いがあります。有志は、ある物事に賛同した人であるのに対し、一同は全員です。例えば、『卒業生一同』と記載すれば、卒業生全員からのご祝儀と見なされるでしょう。なお、連名が3名以下であれば、表書き(外袋)にそれぞれの名前を記載し、中袋に名前・住所・金額などを記載します。
【個人名の書き方】
4人以上の連名にする場合、表書きや中袋に名前を連ねると、見た目のバランスが悪くなります。表書きを『〇〇有志』や『〇〇一同』とした上で、別紙を同封するのがマナーです。
別紙を横向きに配置し、縦書きで名前・住所・金額などを書きます。立場や年齢が同じ場合は右から五十音順にし、立場や年齢の違いがある場合は、目上の人を右側にしましょう。
別紙には、奉書紙(ほうしょし)や半紙などを使用します。粗雑で事務的な印象を受けるため、ボールペンは使えません。
企業が行う「有志活動」とは?
『有志活動』は、従業員や企業にプラスの効果をもたらします。普段あまり接点がない従業員同士が交流すれば、新たなアイデアやイノベーションが生まれる可能性があるでしょう。有志活動の意義やメリットを紹介します。
■共通の意志を持つ従業員が交流すること
企業における有志活動とは、同じような思いを持つ従業員が集まり、立場や部署の垣根を越えて交流をすることです。具体的な内容としては、トークイベント・読書会・スキルアップのためのワークショップ・ピッチコンテスト・SNSでの意見交換などが挙げられます。
例えば、社内報などで「〇〇に興味がある人集まれ」と呼び掛ければ、社内から有志が集まります。参加の目的は人それぞれで、より良い組織をつくるために参加する人もいれば、人とのコミュニケーションやコラボレーションを望む人、アウトプットを強化したい人もいるでしょう。
■企業が「有志活動」を行うメリット
有志活動は、社内サークルのようなものと思われがちですが、楽しいだけの交流にとどまりません。参加する人にとっては、以下のようなメリットがあります。
- 知り合いが増える
- 視野が広がる
- 情報収集ができる
- 本業以外の経験が積める
- 仕事へのモチベーションが上がる
- 自分が望むキャリアパスに近づける
有志活動を通じ、部署間の連携も強化されます。それぞれが強みを持ち寄れば、新たなイノベーションが生まれるかもしれません。
能動的に業務に取り組む従業員が増えたり、ボトムアップの体制が構築されたりして、最終的には企業全体にプラスの効果がもたらされるでしょう。
「有志」を理解して正しく使おう
有志は、ある物事に関心を持って関わろうとすること、または同じ志を持っている人々を指します。香典やご祝儀の表書きに『有志一同』と書く人は多くいますが、厳密には『〇〇有志』とするのが正解です。意味を理解した上で、正しく使いましょう。
社内の有志活動は、個人と企業に多くのメリットをもたらします。人脈が広がるのはもちろんのこと、新たなキャリアパスや活躍のチャンスにも恵まれます。新たな変化や成長、つながりを求める人は、自分からイベントを企画してみてはいかがでしょうか?
構成/編集部