総複業時代が必至である6つの理由
複業にはネガティブなイメージもあったが、今では人手不足解消の切り札となり、国を挙げて複業人材をバックアップしている。2030年に来るといわれる総複業時代に向け、企業、個人ともに複業メリットが増大している。
〈企業のメリット〉
[1]人手不足への対応
中小企業の97.5%が人手不足といわれる超人材難の時代。複業でもいいから有能な人材を獲得したいというのが中小企業の本音だ。観光業でも人手不足から泣く泣く平日営業を取りやめる店や宿泊施設が続出しているように、今後は多くの企業が複業で労働人口を増やしていく必要がある。
[2]優秀な人材の流出を防ぐ
コロナ禍に、社員が柔軟な働き方を経験したことで、コロナ後に「在宅勤務禁止」にした企業では、スキルの高い社員が他社に流出するケースも増えている。優秀な社員ほど、転職や複業に意欲的。大企業でも、離職の抑止策として複業を認めるケースが目立ってきた。
[3]ナレッジの輸入によるイノベーション
自社ではできないことを他社で経験し、そこで吸収した知見を本業に生かすことは、自社のイノベーションのきっかけになる。また、非効率な「会議のために会議をする」といった、気づきにくい〝自社の非常識〟を洗い出すことにより、社内の業務改善にも大きなプラスに。
〈個人のメリット〉
[4]会社への依存度を下げられる
多くの会社の寿命は人ほど長くはない。1社に寄りかかっていると、もしも会社が倒れた時、人生設計まで破綻してしまう可能性が高い。複業で、数社から給与を得る仕組みをつくれば、収入面でも本業1社への依存度を下げることができ、生活を守るリスクヘッジになる。
[5]新たなスキルや得意を見つけられる
「キャリアの8割は偶然の出会いから生まれる」という。裏を返せば、ビジネスパーソンの多くに、今の仕事では発揮されていない潜在能力がたくさん隠れているということ。複業で出会いの場を増やし、眠る才能を発見できるのが、複業のベネフィットになる。
[6]ウェルビーイングの実現
仕事で目標を達成した時や、人から承認された時に加え、好きな人・場所・時間で仕事をやれることにも、人は働きがい、ウェルビーイングを感じるという。この条件が揃うと1時間当たりの生産性が45%も高くなり、肉体、精神ともに健康状態を維持しやすくなる。
取材・文/安藤政弘 イラスト/友田シトウ 編集/廣 健吾 出典(円グラフ)/「複業採用に関する実態調査」(2024年2月9日・Another works調べ)
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