デリカミニは四駆車が人気!こだわりの〝三菱自動車らしい走り〟
デリカミニは、二駆と四駆を選択できるが、その販売比率に特徴があるという。
「デリカミニでは、四駆が人気です。通常、軽自動車の場合、四駆の比率は2割ほど。前モデルeKクロススペースの場合も、2~3割ほどでした。ただ、デリカミニは四駆が2024年5月現在で5割を超えています。私たちは今回、特に四駆に力を入れて開発を進めてきたので、狙った部分をしっかりお客様に評価いただけたと感じています」
デリカミニの特徴のひとつが、「走りやすさ」だと藤井さんは続ける。
「デリカミニは、日常使いだけでなく、キャンプやフィッシングなどのアウトドアシーンに使っていただくことも想定していましたので、悪路での走破性を高めることを意識し、サスペンションをデリカミニ専用にチューニングしています」
開発時は、ボコボコとした道が連なった試験コースで車を走らせ、細かなチューニングを何度も繰り返したという。その結果、足場が悪いキャンプ場を走っても、揺れが少ない安定した走りが実現され、「軽自動車とは思えない」と話題を呼んだ。
「デリカのコンセプトには、大切な家族や仲間というキーワードがあるので、運転する人だけが、快適で安心なだけではいけません。乗っている皆さんに乗り心地の良さを感じていただきたいので、悪路を走る際、後席でも不安なく快適に過ごせるように仕上げました」
ヤングファミリー層や女性から好評
こうして2年の歳月をかけて開発されたデリカミニは、2023年5月に販売を開始。売行きはかなり好調だ。
「2023年1月の東京オートサロンで実車をお披露目し、そこで多くの反響をいただき、発売時には1万6000台の予約を獲得できました。現在の販売実績は、約4万台を超えています(2024年6月時点)。ちなみに、eKクロススペースの1か月の販売台数は1000~1500台ほどと考えると、とても好調だと捉えています」
実際にターゲットとしていたヤングファミリー層や、女性からも嬉しい声が寄せられた。
「デリカミニを見て『かっこいい』という方と『かわいい』という方が半々という印象です。女性のお客様からは比較的かわいいと言っていただいていますね。ショールームには、私たちがターゲットとした、若いファミリーが多く足を運んでくださっていますね」
愛着感のある車を開発するため、車を擬人化してデザインに落とし込むデザインパーソナリティという新しい手法を取り入れたという。その際のイメージは、やんちゃ坊主、母性本能をくすぐるといったもの。デリカミニにはそのイメージが採用され、プロモーション企画時には、イメージキャラクター「デリ丸。」が誕生した。
デリカシリーズをさらに盛り上げるために
今回のデリカミニの開発を通し学んだことについて、藤井さんは次のように振り返る。
「商品企画をする人間にとって、PDCAがいかに大切かを改めて感じました。お客様目線を大切にとは、誰もが言いますが、必ずしもお客様目線通りに仕上げられるとは限りません。だからこそ、今回は改めてお客様の嗜好を掘り下げるところを重視して、開発をスタートしました。前モデルをベースにしてはいますが、企画という意味では新型車に近いプロセスでやってきました。反省を生かして新たな商品を作り出したという部分で、自身の成長に繋がったと思います」
最後に、今後の展望について藤井さんは次のように語ってくれた。
「今後も、デリカに関わるすべての人たちを巻き込んで、デリカワールドを盛り上げていきたいですね。キャンプイベントやファンミーティングなどを開催していますが、そうしたお客様との接点を増やし、デリカシリーズ全体を盛り上げたいです。今のデリカミニは、お客様に受け入れられていますが、これで終わりだとは思っていません。お客様からは『内装をもう少しデリカっぽくしてほしい』といった要望の声をいただいているので、そうした声にお応えしていきたいです。また、今後カーボンニュートラルの動きが加速する中、EV対応も考えていかなければと思っています」
取材/DIME編集部、文/久我裕紀