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自動車産業に革命をもたらしたフォードはEVで輝きを取り戻せるか?

2024.06.18

自動運転技術の開発

フォードは自動運転技術の開発にも注力しています。自動運転車両の商業化を目指し、人工知能(AI)とセンサー技術を駆使して、安全かつ効率的な移動手段を提供することを目指しています。この分野における有力なスタートアップである「Argo AI」が精算されると、提携先だったフォードは人材を継承しています。

実際、自動運転技術の社会実装に向けて、さまざまな実証実験を行っています。

例えば、都市部での自動運転タクシーの運行や物流業務の自動化など、実際の使用環境でのテストを通じて技術の完成度を高めています。また、法規制の整備や社会受容性の向上にも取り組んでおり、ステークホルダーとの協力を強化しています。

とはいえ、テスラを筆頭に米国内だけでもライバル企業がひしめいており、フォードが現在のポジションをキープできるのかどうかは、もう少し時間をかけて検証すべきでしょう。

【サステナビリティと社会的責任】

環境への配慮と持続可能なビジネスモデルの構築は、現代の自動車メーカーにとって避けて通れない課題です。フォードは、再生可能エネルギーの利用や生産プロセスの効率化に取り組み、カーボンニュートラルの達成を目指しています。また、地域社会への貢献や労働環境の改善など、社会的責任を果たすことにも力を入れていますが、これは他の自動車メーカーも同じように取り組んでいるともいえるため、大きなポイントとはならないでしょう。

フォードの業績推移

以下は、2019年から2023年までのFordの財務実績に関する要約です(単位:百万USドル)。

【売上高】
2019年: 155,900
2020年: 127,144
2021年: 136,341
2022年: 158,057
2023年: 176,191

フォードの売上高は2020年に大きく減少したものの、その後は増加傾向にあります。この増加は、COVID-19パンデミックの影響からの回復と、電気自動車(EV)および新モデルの投入によるものと考えられます。

【営業利益】
2019年: 519
2020年: -4,409
2021年: 2,821
2022年: 6,155
2023年: 5,458

営業利益の動向の変動は、コスト管理の改善や売上の回復によるものの一方で、供給チェーンの問題や生産コストの増加が影響していることが見えてきます。

【当期利益】
2019年: 47
2020年: -1,279
2021年: 17,937
2022年: -1,981
2023年: 4,347

当期利益の大きな変動は資産売却による特別利益や、政府からの支援金、一時的な要因や特別項目の影響が大きいと考えられます。また前年の赤字からの反動も考えられます。

【EPS(一株当たり利益)】
2019年: 0.04
2020年: -0.32
2021年: 4.49
2022年: -0.49
2023年: 1.09

EPSは、2020年と2022年にマイナスになっており、特に2022年には-0.49USドルとなっていますが、2021年には4.49USドル、2023年には1.09USドルと回復しています。これもEPSと同様に、一時的な要因や特別項目の影響が大きいと考えられます。

【PER(株価収益率)】
2019年: 244.06
2020年: ――
2021年: 4.34
2022年: ――
2023年: 11.14

PERは、2019年には244.06倍と非常に高い値を示しましたが、2021年には4.34倍と大幅に低下しています。2023年には11.14倍と再び上昇しています。PERの変動は、利益の変動および市場の評価によるものです。特に、2020年と2022年にはPERが計算されていないことから、これらの年は利益がマイナスであったことがわかります。

ちなみに株価は過去10年ほど12ドル近辺を推移しており、大きな株価上昇はしていません。

配当利回りは執筆時点(6/13)で4.96%です。

おわりに

フォード・モーター・カンパニーは、過去100年以上にわたり、自動車産業のリーダーとして多くの革新を生み出してきました。

フォードの歴史と未来を理解することで、同社がいかにしてグローバルな自動車市場での競争力を維持し続けているのかを知ることができます。

これまでも日本車の台頭や電動車市場での苦戦など、多くの課題にも直面していますが、100年に一度の大変革と言われる自動車業界の生き残りをかけた競争が続いています。

フォードはこれらの課題に対して未来のモビリティをリードする企業としての地位を築けるのか、今後5年、10年先の変遷を見ていく必要があるでしょう。

文/鈴木林太郎

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