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自動車産業に革命をもたらしたフォードはEVで輝きを取り戻せるか?

2024.06.18

米国企業深掘りシリーズ「フォード」

フォード・モーター・カンパニー(Ford Motor Company)は、アメリカを代表する老舗自動車メーカーであり、1903年にヘンリー・フォードによって設立されました。フォードは自動車業界ではじめての大量生産を可能にするライン生産の導入により、自動車産業に革命をもたらしました。

この記事では、フォードの歴史と未来について詳しく解説します。

フォードの歴史 創業期と初期の成功

創業者であるヘンリー・フォード(1863−1947)は、幼少期から機械に強い興味を持ち、あのジソンの照明会社で働いていた経験もありました。

1903年にフォード・モーター・カンパニーを設立し、フォードの最初の車となる「モデルA」を発売しました。しかし、本格的な成功を収めたのは1908年に登場した「T型フォード」です。

この車は、低価格で耐久性があり、一般家庭でも手に入れやすいものでした。

このT型フォードの成功により、フォードは世界最大の自動車メーカーへと成長します。

1913年になると移動組立ラインを導入し、生産効率を飛躍的に向上させました。

この方法は「フォーディズム」と呼ばれ、現代の種本主義を特徴付ける概念として、多くの産業で採用されています。

フォードの大量生産技術は、自動車の普及を劇的に加速させました。

1920年代になると、アメリカ国内の自動車の半数以上がT型フォードだったほどです。

それと同時にフォードは従業員に高い賃金を支払うことで、従業員が自社製品を購入できるようにし、消費社会の基盤を構築していったのです。

フォードの成長とグローバル展開

20世紀を通じて、フォードは多くの革新と挑戦を続けました。第二次世界大戦中になると、軍需産業への貢献として戦車や飛行機の製造にも携わりました。戦後は、需要の急増に対応するため新しいモデルを次々と投入し、1960年代になると「マスタング」などのアイコニックな車種を発表し、若者文化の象徴として広く受け入れられていきます。

それと同時にトラックやSUVなどの多様な車種を展開し、時代と呼応するように顧客の多様なニーズに応えていきました。フォードは戦前から日本に進出しており、一時はマツダとも提携するなど、日本との関わりの長い自動車メーカーともいえます。

日本車の台頭と競争

1970年代から1980年代にかけて、日本の自動車メーカー、特にトヨタやホンダ、日産などがアメリカ市場に進出し、質の高い燃費効率の良い車を提供することで市場シェアを拡大しました。これにより、フォードを含むアメリカの自動車メーカーは大きな競争圧力にさらされました。

日本車の台頭は、アメリカの自動車メーカーに品質向上と効率化を迫る契機となり、フォードもこれに対応するために多くの改革を行いました。

その一方、フォードは品質改善プログラムを導入し、生産工程の見直しを行うことで競争力を回復させました。また、消費者のニーズに応じた新モデルの開発や、燃費効率の向上を図るための技術革新にも取り組みました。これにより、日本車との競争においても一定の成果を上げることができています。

EV事業に苦戦するフォード

近年、テスラの台頭もあり、フォードは電動化に積極的に取り組んでいますが軌道には乗っていません。現状、2020年代から電気自動車(EV)市場での競争力を高めるために多額の投資を行っていますが、苦戦が続いています。

実際、米調査会社Cloud Theoryによると、フォード系ディーラーは昨年対比でEV販売台数を減らしており、例えば、Mach-Eは昨年比で販売台数が21%減少しています。

フォードはMach-Eの在庫が輸送中に多くの時間を費やしたため、結果的に増加していると説明していますが、ディーラーは、顧客が他のEVに移行する前に納車が完了しない可能性を懸念しています。

【EV市場全体の状況】

フォードだけでなく、テスラも2023年に在庫増加に悩まされ、値下げや特典を繰り返しています。EV市場全体がアーリーアダプターの段階を超え、次の5~10年が困難な時期になると予測されています。年々、EV市場は拡大しているものの、当初の見方よりも成長曲線は緩やかになっています。

【市場シェアの課題】

アナリストは、米国の自動車市場におけるEVの市場シェアが10%に近づくと、それを超えるのが難しくなると指摘しています。GMも同様の問題を抱えており、大規模な投資にもかかわらず販売台数が伸び悩んでいます。

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