U-NEXT HOLDINGSのグループ会社であるUSENと大創産業は、早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所と共同で、来店者が心地よく帰ることができる新しい閉店音楽の制作を目的とした共同研究を実施。
大創産業が運営する「DAISO」の国内全直営店を含めた約2900店舗の閉店時において、2024年6月11日より『Good Day ~閉店の音楽~』の放送を開始した。
閉店音楽に関する共同研究について
従来、店舗では閉店時間を知らせる音楽として「蛍の光(別れのワルツ)」が広く使われてきたが、外国人をはじめ、“「蛍の光(別れのワルツ)」=閉店”というイメージが結び付きづらい来店客もいることや、来店客に閉店時間の声がけがしづらいといった状況が見受けらたという。
そこで、同社では「さりげなく閉店時間であることを伝えながらも、快くお帰りいただけるような新しい閉店音楽を目指して、『Good Day ~閉店の音楽~』の制作に取り組みました」と説明している。
■『Good Day ~閉店の音楽~』とは
この曲は、早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所と行なった共同研究により得られた、閉店のイメージを持つ音楽の特徴に基づき、USENが制作したオリジナル曲だ。
「郷愁感」をキーワードに小編成のオーケストラでゆったりとした曲調に仕上っている。USEN音楽配信サービスのBGM専用チャンネルにて、一般店舗でも広く利用可能だ。
https://music.usen.com/?service=umusic
共同研究および調査の概要
予備調査として、一般男女150名を対象に数種類の音楽を聴かせ、閉店音楽としての「ふさわしさ」と、その音楽から想起する印象語を調査した。
結果、閉店音楽としてふさわしい曲は「郷愁」「自然」「美しい」「落ち着く」「静か」といった印象を感じさせることが明らかになった。
次に、「DAISO」の店舗スタッフ657名を対象に予備調査で選出された閉店音楽の妥当性を確かめる調査(※)を行い、そこで特定された音楽の特徴を取り入れて、新しい閉店音楽=『Good Day ~閉店の音楽~』が制作された。
さらに、この曲を複数の「DAISO」の店舗で実際に放送し、放送していない店舗と比較する出口調査を実施。来店客に与える印象について確認を行なった。
※調査日程:2022年7月4日~2022年7月7日
■出口調査について
【放送したBGM】
A群店舗:営業中のBGMを放送し続ける/B群店舗:閉店5分前から「新しい閉店音楽」を放送
【対象者】
調査実施店舗で閉店5分前以降にレジに並んだお客様、102名(A群48名 / B群54名)
【内容】
対象者にはレジ通過後、閉店音楽としてのふさわしさや印象、好ましさなどを7段階評定で聞いた。
【結果】
(1)「新しい閉店音楽」の方が、営業中のBGMよりも「閉店にふさわしい」「郷愁を感じる」「好ましいBGM」の項目が有意に高くなることが示された。
(2)「新しい閉店音楽」は閉店時間の音楽にふさわしく、店舗の評価を高め、顧客満足度や再来店意向を高める可能性があることが明らかになった。
※注1:パス(矢印)の上にある数値は影響の度合いを意味している。絶対値が影響の大きさ、符号(+/-)が影響の向き(正/負の影響)、数値右上の ** が統計的に有意な影響であることをそれぞれ表している。
※注2:上下2段に数値があるパスは上段が満足度、下段が再来店意向への影響を表している。
早稲田大学 マーケティング・コミュニケーション研究所によるコメント
恩藏直人氏 (早稲田大学教授) 、平木いくみ氏 (東京国際大学教授、本研究所招聘研究員)、須永努氏 (早稲田大学教授)
近年、マーケティングではセンサリーという視点が注目されています。これは、音楽や香りなど五感を刺激することにより、消費者に意識させることなく何らかの行動を引き起こそうとするものです。今回の共同研究では、店舗の閉店時の音楽に注目しました。
閉店時間であることをお客様にお知らせしますが、強制的であるという印象を与えず、店舗への満足度を損なわない、さらには、再び来店したいと思ってもらえるような音楽はないか、といった問題意識が出発点になっています。
いくつかの調査と分析を経て、狙いどおりの曲に仕上がりました。今後は、出来上がった曲を実際の店舗で流すことにより、閉店時におけるお客様の行動や、その後の来店にどのような変化が生じるのかを追跡していきたいと思います。
関連情報
https://unext-hd.co.jp/newsrelease/2024/06/usen-waseda-daiso.html
構成/清水眞希
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