ダイバーシティを推進する企業の取り組み
SNSでの情報共有が容易になった現代、人々のニーズや価値観は多様化の一途をたどっています。ダイバーシティを推進するには、働く人のニーズをくみ取った上で、組織の制度や仕組みに適切に反映させなければなりません。具体的な施策事例を紹介します。
■勤務地の多様化
働き方や勤務地の選択肢を増やすことで、多様性のある人材を確保できます。例えば、ICT技術を活用したリモートワークをメインにすれば、国内各地のみならず、海外からも優秀な人材を集められます。単独での外出が難しい身体障害者や、家を空けるのが難しい育児中・介護中の人にも働くチャンスが与えられるでしょう。
人材不足が叫ばれる中、企業は多様な人材を採用すると同時に、今いる人材の離職を食い止める必要があります。働き方に幅を持たせれば、引っ越しや結婚といった『ライフスタイルの変化』で職場を離れる人が減るでしょう。
■ワーク・ライフ・バランスを重視
働き方改革の一環として、『ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)』を重視する企業は少なくありません。具体的な施策には、以下のようなものが挙げられます。
- 定時退社を徹底する
- 有給休暇の取得を促す
- 時短勤務やフレックスタイム制を取り入れる
- 労働時間のモニタリングで過重労働を防ぐ
フレックスタイム制とは、従業員が自分で勤務時間を決められる制度です。コアタイム(必ず勤務する時間帯)を除けば、基本的にいつ出社・退社しても構いません。長時間労働の削減や仕事と生活の両立支援に取り組むことで、誰もが安心して働ける職場環境がつくられます。
■さまざまな人が働きやすい職場の整備
日本は、先進国の中でも女性の活躍が遅れているといわれています。その理由の一つに、性別によって役割を分担する『性別役割分担意識(性別役割分業意識)』が根付いていることが挙げられるでしょう。一部の企業では、男性の育児参加や女性の雇用を推進するため、以下のような取り組みを行っています。
- 男性の育児休暇取得の促進
- 社内託児施設の設置
- 短時間勤務制度の導入
近年は、同性パートナーを持つ従業員を考慮して福利厚生制度を整備したり、LGBT従業員が利用しやすい多目的トイレを設置したりする企業も増えてきました。聴覚に障害のある従業員のために、研修や面談に手話通訳・文字通訳・口話などを取り入れる企業もあります。
ダイバーシティへの理解を深めよう
ダイバーシティは、さまざまな属性を持った人が組織の中でともに活躍することです。企業は、表層的なダイバーシティと深層的なダイバーシティの両方を重視しながら、採用や人材活用を進めていく必要があります。
グローバル化や少子高齢化が進む中、多様な人材の確保は企業にとっての急務です。しかし、内部での意識改革や環境整備が不十分で、働く人の間で摩擦や葛藤が生じている企業も少なくありません。まずは、一人一人がダイバーシティの重要性を理解することが重要です。
構成/編集部