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企業にとっての「ダイバーシティ」の意味と取り組むことによるメリットとは?

2024.07.29
これまで、日本の多くの企業は、共通の価値観を持つ人々を中心に組織づくりを行ってきました。グローバル化や労働人口の減少が進む現代は、経営戦略にダイバーシティが欠かせないといわれています。企業にとってのメリットや課題、取り組み事例を紹介します。

ダイバーシティとは

政府は、企業におけるダイバーシティを推進しています。労働人口の減少が進む中、日本の企業はさまざまなバックグラウンドを持つ人々を柔軟に受け入れ、多様性のある組織を築いていかなければなりません。ダイバーシティの意味と重要性を理解しましょう。

■多様性という意味を持つ言葉

英語のダイバーシティ(diversity)には、『多様性』という意味があります。多様性とは、ある集団の中に、異なる属性を持つ人々が存在している状態です。性別・年齢・国籍・宗教などのあらゆる枠組みを超え、さまざまな価値観を持つ人々が一緒に働く組織やチームをイメージしましょう。

日本では、『ダイバーシティ経営』という言葉が注目されています。経済産業省では『ダイバーシティ経営』とは「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義しています。

『ダイバーシティ経営』を実践することで、新たな価値の創出のみならず、組織の活性化、生産性の向上などがもたらされると期待されています。

出典:ダイバーシティ経営の推進 (METI/経済産業省)

■ダイバーシティが広がった背景

ダイバーシティは、1950~1960年代のアメリカで生まれた概念です。アフリカ系アメリカ人への差別撤廃と公民権の適用を訴える社会運動が起こり、1964年に公民権法が成立しました。これをきっかけに、マイノリティへの不平等が見直され、ダイバーシティ経営の重要性が認識されるようになったのです。

日本では、労働人口の減少やグローバル競争の激化、人々の価値観の多様化などを背景に、同質的な組織から脱却することの重要性が説かれています。ダイバーシティの概念が浸透している国際社会では、多様性に不寛容な企業は評価されにくく、企業としての競争力が低下する恐れがあります。

日本のダイバーシティへの取り組み

経済産業省は2017年、企業向けに『ダイバーシティ2.0行動ガイドライン』を公表しました。多様な属性を持つ人々の能力を最大限に引き出し、付加価値を生み出し続ける組織への変革を促す内容です。

経済産業省はこれまで、女性の活躍を掲げた取り組みを推進してきましたが、社会的要請に形式的に対応する企業が多く、施策は限定的なものにとどまりました。新たなガイドラインには、推進体制の構築やガバナンス改革、管理職および従業員の意識改革の重要性などが盛り込まれています。

厚生労働省も、『多様な人材が活躍できる職場環境に関する企業の事例集~性的マイノリティに関する取組事例~』を作成し、誰もが働きやすい職場環境を整備することを企業に求めています。『性的マイノリティ』とは、同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーなどの性的少数者のことです。

2つに分類されるダイバーシティ

グローバル人材

(出典) pixta.jp

多様性と聞くと、性別・年齢・国籍といった表面的な違いをイメージする人が多いでしょう。ダイバーシティは、『表層的なダイバーシティ』と『深層的なダイバーシティ』に大別されます。

■表層的なダイバーシティ

表層的なダイバーシティは『外見で識別できるもの』であり、自分の意思で変えられない、または変えるのが困難な属性が含まれます。

  • 年齢
  • ジェンダー
  • 人種・民族的な伝統
  • 体格・身長
  • 障害の有無
  • 肉体的・心理的な能力

日本では、女性・高齢者・障害者・外国人を積極的に雇用する企業が増えています。深層的なダイバーシティに比べ、表層的なダイバーシティに対する意識改革や職場環境の整備は取り組みやすい傾向があります。

■深層的なダイバーシティ

深層的なダイバーシティは、『外見で識別できないもの』です。表面上は同質に見えるため、一歩踏み込んで確認する必要があります。

  • 宗教
  • 教育
  • 第一言語
  • 価値観
  • 職務の経歴
  • 組織上における階層
  • 収入・働き方
  • コミュニケーションの方法

深層的なダイバーシティを受け入れると、組織にさまざまな価値観や能力、経験を持つ人々が集まります。互いに協力し合いながら、それぞれが最大限の能力を発揮すれば、これまでにない新たな価値が生まれる可能性があるでしょう。

企業がダイバーシティを推進するメリット

グローバル人材

(出典) pixta.jp

ダイバーシティは、一部のグローバル企業だけに必要な取り組みではなく、あらゆる企業に求められるものです。ダイバーシティを取り入れると、どのようなメリットがもたらされるのでしょうか?

■イノベーション創出のきっかけになる

多様な人材を採用すれば、組織におけるイノベーションが加速します。イノベーションは、日本語で『技術革新』と訳されますが、新技術の開発だけにとどまりません。既存要素の新結合などにより、新たな価値を創出することも含まれます。

同質的な組織では、新たな視点やアイデアが生まれず、イノベーションが起こりにくいとされています。さまざまなバックグラウンドを持つ人が知恵を出し合えば、過去になかった商品やサービスが生まれる可能性があるでしょう。

とりわけ、深層的なダイバーシティを重視する企業は、イノベーションが企業の業績につながりやすい傾向があります。

■環境変化に強い企業へと成長できる

グローバル化やAI技術の進化などに伴い、企業の経営環境は、日を追うごとに多様化・複雑化しています。目まぐるしい環境変化に順応できない企業は市場での競争力を失い、業績は悪化の一途をたどるでしょう。これからの時代は、環境変化に強い組織をつくることが企業の課題といえます。

ダイバーシティが進んでいる企業は、環境変化に柔軟な傾向があります。複数の視点から課題に対処できるため、同質的な人材で構成される組織よりも、市場で生き残る確率が高いのです。

■多様な人材を確保できる

労働生産人口の減少が進む日本において、多くの業界は人材不足に直面しています。とりわけ、知名度が低く、資金力も乏しい中小企業は、優秀な人材の確保に悪戦苦闘しているのが現状です。

企業がダイバーシティ経営に注力すれば、採用力が高まります。誰もが自分らしく働ける職場環境を整えることで、多様な人材が集まるでしょう。

例えば、短時間勤務やリモートワークなどのワークスタイルを導入すれば、小さな子どもがいる人や、出社が困難な障害者などが就業の機会を得やすくなります。

ダイバーシティの課題

企画会議

(出典) pixta.jp

日本の多くの企業は、ダイバーシティ経営に多くの課題を抱えています。働く人々の意識改革が不十分だったり、環境整備が思うように進まなかったりして、取り組みが形骸化するケースも珍しくありません。

■十分な意識改革が行われていない

経営層や従業員の意識改革が不十分な場合、無意識の差別やハラスメントが多発します。結果的に、ダイバーシティの推進が阻害される恐れがあるでしょう。

無意識の差別はアンコンシャス・バイアスと呼ばれます。例えば、『プライベート重視の人は昇進に興味がない』『育児中の女性に出張は無理だ』『外国人は時間にルーズである』などの思い込みや偏見があると、特定の人のキャリア形成にマイナスの影響が及ぶでしょう。

そのほか、価値観の違いによる対立やミスコミュニケーション、業務効率の低下も懸念されます。企業内の意識改革をしっかりと行い、環境を整備した上で導入を検討しなければなりません。

■適切な取り組みの有無

過去には、女性の活躍推進をメインとしたダイバーシティの取り組みが進められましたが、政府の要請に受動的に対応した印象が強く、全社的な動きには至らない企業が多く見受けられました。

現場では形だけの取り組みが横行し、明確な効果がないのにもかかわらず、女性を特別扱いすることで一部の施策を継続させた企業もあるようです。

企業にダイバーシティを根付かせるには、意識改革をはじめとする『ソフト面』と、環境整備や仕組みづくりなどの『ハード面』の両方に力を入れる必要があります。目標や理想を掲げるだけでなく、より具体的な施策に落とし込むことが成功の鍵といえるでしょう。

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