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最近よく聞く「アンコンシャス・バイアス」って何?

2024.06.30
私たちの身の回りには、さまざまなアンコンシャス・バイアスが溢れており、知らず知らずのうちに自分や他人にマイナスの影響を与えています。具体的な事例を挙げながら、アンコンシャス・バイアスの弊害や原因、対処法を解説します。

アンコンシャス・バイアスとは?

『アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)』は、自分自身の可能性を狭めるだけでなく、無意識のうちに相手の心を傷つけます。企業においては、人間関係の悪化や人材の流出を招く恐れがあるでしょう。多くのマイナスの影響を及ぼすアンコンシャス・バイアスとは、どのようなものなのでしょうか?

■無意識の思い込みや偏見のこと

アンコンシャス・バイアスは、無意識に抱いている『思い込み』や『偏見』を意味する言葉です。過去の経験や見聞きした情報、世間の常識などに影響され、『この人は〇〇に違いない』『普通は〇〇だ』と主観的に判断することを指します。いくつか例を挙げましょう。

  • 先生の意見は正しいはずだ
  • 育児休暇は女性が取得するものだ
  • A型だから、真面目で、きちょうめんなタイプに違いない
  • 定時で帰る人は仕事へのモチベーションが低い
  • 大学を卒業していないから、自分は他人よりも劣っている

アンコンシャス・バイアスは、他者に対する偏見もあれば、自分に対する偏見もあります。

■問題点や注目される背景

無意識の思い込みは誰にでもあり、そのこと自体が悪いわけではありません。しかし、相手に自分の考えを押し付けたり、物事を勝手に決め付けたりすると、多くの問題が生じます。職場では、モチベーションの低下や人間関係の悪化、早期離職を招くでしょう。

日本ではここ数年、人種や性別、価値観などに捉われない『多様性のある職場』を目指す動きが加速しています。採用や昇進にアンコンシャス・バイアスが影響すれば、偏った組織構成になるだけでなく、企業としてのイメージもダウンしかねません。

アンコンシャス・バイアスの原因

悩むビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

アンコンシャス・バイアスは、どのようにして生み出されるのでしょうか?原因を理解することで、自分の偏った考えに気付きやすくなります。

■長年行っている習慣や常識

多くの人は、過去の経験や習慣、常識に基づいて物事を判断する傾向があります。経験や習慣に従って判断すれば、物事をより素早く進められますが、多様性が増す職場では、アンコンシャス・バイアスとして認識されかねないのが実情です。

常識は時代の流れとともに変化します。自分の常識が、他人の非常識であるケースも珍しくありません。組織において、暗黙のルールや不文律にこだわりすぎると、新たに入社したメンバーにストレスや違和感を与えるでしょう。

■自己保身や自己防衛

脳は、未知の物事に遭遇すると、無意識にストレスを回避しようとします。自己保身や自己防衛の機能が働き、自分に都合の良い解釈をしたり、自分は間違っていない」と考え、自分を正当化したりする傾向があるようです。以下のような言葉を発していないかを振り返ってみましょう。

  • こんなことも分からないの?
  • 難しいことは何も言っていない
  • 普通の人だったら…

多くの人が集まる学校や職場では、つい自分と似たような考え方の人を優遇しやすくなります。逆に、自分と似ていない人には親近感を抱きにくく、無意識のうちに否定的な言動を取りがちです。

アンコンシャス・バイアスの代表的な例

自信がある人のイメージ

(出典) pixta.jp

アンコンシャス・バイアスには、複数のパターンがあります。『ハロー効果』や『確証バイアス』などは、見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか?代表的なアンコンシャス・バイアスの例をいくつか紹介します。

■性別や職業への固定観念「ステレオタイプバイアス」

ステレオタイプバイアスとは、性別・職業・年齢・人種・宗教といった『人の属性』に関する固定観念を指します。具体的な例を見てみましょう。

  • 男性は一家の大黒柱
  • 女性は感情的になりやすい
  • 外国人は自己主張が強い
  • 東北出身の人はお酒が強い

性別に対する固定観念は、『ジェンダーバイアス』とも呼ばれます。性差を基準に役割を与えれば、本人の可能性を狭める結果につながるでしょう。

■1つの特徴が全体の評価に影響を与える「ハロー効果」

一部の目立つ特徴に全体の評価がゆがめられる現象は、ハロー効果と呼ばれます。ハロー(halo)とは、神や仏の頭の周りに描かれる後光(ごこう)のことです。

優れた特徴によって全体がプラス評価となる『ポジティブハロー効果』と、悪い特徴によって全体がマイナス評価になる『ネガティブハロー効果』があり、どちらも人の本質を見誤ることにつながります。

  • 有名企業の出身だから、仕事ができそう
  • 高卒だから、社会の常識が身に付いていないはずだ
  • 日商簿記の資格があるから、業務は楽にできるだろう
  • 美容家がおすすめしている商品には、高い効果が期待できる

テレビのCMに有名人を起用するのは、ポジティブハロー効果を期待しているためといえるでしょう。

■自分の考えを肯定する情報だけ拾う「確証バイアス」

確証バイアスとは、自分の考えの正しさを証明する情報だけを集めることです。どのような物事にも、肯定的な面と否定的な面があります。しかし、確証バイアスに陥ると、無意識レベルで否定的な情報を認知しにくくなり、客観的事実に基づく公平な判断が下せません。具体的な事例を見てみましょう。

  • 血液型がB型だと分かると、一般的にいわれるB型の特徴ばかりが目に付く
  • ステロイドに否定的な人が、リスクばかりを検索し、ステロイドは危険だと認識する

特にSNSでは、その人の好みに合う情報が自動的に収集されます。似たような価値観の人々に囲まれていると、自分の考えの偏りに気付きにくくなる点に注意が必要です。

■過剰な配慮をする「慈悲的差別」

慈悲的差別とは、本人の意向に関係なく、相手に過剰な配慮をすることを指します。特に、障害者や高齢者、女性は、慈悲的差別の対象となりやすい傾向があります。

  • 障害のある人には、できるだけ楽な仕事を任せた方がよい
  • 高齢者には優しく対応しなければと思う
  • 本人の状態にかかわらず、妊婦には絶対に残業をさせない

円滑な人間関係を築く上で、配慮や気遣いは欠かせません。ただし、自分が良かれと思ってやったことが、他者の自立の機会を奪ったり、心を傷つけたりするケースがあることも覚えておきましょう。

■危険に巻き込まれないと思い込む「正常性バイアス」

「自分に限って、そんなことはあるはずない」と思った経験は誰にでもあるでしょう。正常性バイアスとは、物事を過小評価し、正常の範囲内であると思い込むことです。

心理的ストレスから自分を守るための自然な反応ですが、場合によっては、状況の悪化を招いたり、問題が先送りになったりする可能性があります。具体的な例は、以下のとおりです。

  • 自分は基礎疾患がないから、新型コロナウイルスに感染しても重症化しないだろう
  • 自分に限って、重大な事件に巻き込まれることはないだろう
  • 海から距離があるから、津波の心配はまずない

災害の発生時や感染症のまん延時は、正常性バイアスによって初動対応が遅れることが考えられます。

■従来のやり方にとらわれる「アインシュテルング効果」

長年のやり方や過去の経験など、『自分にとってなじみ深いもの』に固着することをアインシュテルング効果と呼びます。例えばビジネスシーンでは、以下のような事例が多く見受けられます。

  • 慣れているという理由で、新たなツールを試そうとしない
  • 新たな案を採用せず、過去に成功したやり方に固着する
  • うまくいっているから変える必要はないと思う

アインシュテルング効果の影響を受けると、新たなアイデアや未知の挑戦を拒むようになります。組織ではイノベーションが起こりにくくなり、多様性も失われていくでしょう。

アンコンシャス・バイアスの影響

頭を抱えるビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

アンコンシャス・バイアスは、誰しもが持っている無意識の思い込みです。思い込みに気付かず、他人に自分の考えを押し付けた場合、人間関係やキャリアにマイナスの影響を及ぼします。

■人間関係へ悪影響を及ぼす

「普通はそうだろう」「男(女)のくせに」などの何気ない言葉は、人間関係を悪化させます。場合によっては、ハラスメント問題に発展する可能性もあるでしょう。

特に、組織のリーダーや管理職に就いている人は、『非言語のメッセージ』にも注意を払う必要があります。眉をひそめたり、腕を組んだりといったささいな態度に、部下は恐れや無力感を抱くためです。

社会では、立場が上の人や多数派の意見が優先される傾向があります。価値観の押し付けにより、立場の弱い人や社会的少数者がストレスを感じていないかを考えなければなりません。

■仕事やキャリアにも影響をもたらす

職場では、以下のようなアンコンシャス・バイアスにより、仕事やキャリアに制限がかかる場合があります。特に、無自覚な慈悲的差別は、仕事に対するモチベーションを低下させるでしょう。

  • 小さな子どもがいる女性に出張は無理だ
  • 高齢者がパソコンやスマホを使いこなすのは難しい
  • 仕事を休むなんて無責任だ
  • あの人はプライベート重視だから、昇進は望んでいないだろう

自分に対するアンコンシャス・バイアスの影響も深刻です。「私には無理」「そんなことができるわけがない」が口癖の人は、自分で自分の可能性を狭めていることに気付きましょう。

アンコンシャス・バイアスへの対処法

手帳を手にしたビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

多様性が重視される現代、アンコンシャス・バイアスの研修を行う組織が増えています。一人一人が無意識の思い込みに気付けば、風通しの良い職場環境が実現するでしょう。個人の能力が最大限に生かされ、組織としてのパフォーマンスも向上します。アンコンシャス・バイアスを克服するために、個人ができることを紹介します。

■自己認知力を向上させる

そもそもアンコンシャス・バイアスは、脳の自己防衛機能の一種であるため、完全に取り去ることはできません。しかし、自分がどのような思い込みや偏見を持っているかを理解できれば、他人への決め付けや押し付けがなくなります。

自分自身の価値観を客観的に把握することを、『自己認知』といいます。ある考えや感情が心の中に浮かんだときは、「これはアンコンシャス・バイアスではないだろうか?」と自分自身に問いかけてみましょう。メモに記録していくことで、自分の思考の癖や偏見がよりクリアになります。

■相手の意見を尊重する

自分の意見を述べる前に、相手の意見に耳を傾けましょう。例えば、『妊婦には残業をさせない方がよい』という意見は、一部の人の考えであって、本人の意向ではありません。慈悲的差別で相手のキャリアや仕事を制限しないように、本人の考えを聞く必要があります。

例えば、以下のような言葉は、アンコンシャス・バイアスから生まれます。言葉を発する前に、決め付け・押し付けになっていないかを考えてみることが肝要です。

  • 〇〇すべきだ
  • 普通なら〇〇だ
  • どうせ無理
  • そんなはずはない

相手の表情や態度を注意深く観察すれば、自分の言動がアンコンシャス・バイアスに基づくものかどうかを判断できます。表情がこわばったり、声のトーンが低くなったりしたときは、相手を不快にさせている可能性が高いでしょう。

アンコンシャス・バイアスに向き合おう

打ち合わせ

(出典) pixta.jp

アンコンシャス・バイアスは、誰もが持っている無意識の思い込みです。それ自体は問題ではありませんが、個人の固定観念から発せられる言葉や態度によって、心が傷ついたり、生きづらさを抱えたりする人がいることを忘れてはいけません。

近年は、組織におけるダイバーシティ(多様化)が推進されていますが、職場に根付くアンコンシャス・バイアスが足かせになるケースもあります。まずは、自分にとっての常識や当たり前を認知し、客観的に見る習慣を付けましょう。

構成/編集部

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