自己中心のマインドでの話し方が嫌われる原因に
特に多くの人が話し方によって相手から嫌われてしまう原因のひとつは、「自己中心のマインド」があるからだと、小林さんは分析している。この「自分中心のマインド」を「相手中心のマインド」に変えるだけで、嫌われない話し方になるというのが、小林さんの主張なのである。
自分の承認欲求を相手にぶつけるのではなく、相手が求めていることを察知し、会話につなげることが会話における成功の秘訣だった。
では具体的にマインドを言葉で表現する話し方とは、どうやれば良いのだろう。小林さんによると、「相手の承認欲求」に「言語表現」で応えることだと言う。そして2つのステップで話し方は大きく改善できると言う。
まずはSTEP1として、「相手の承認欲求」を「言葉」から把握する=聞くこと
そしてSTEP2として、「相手の承認欲求」に「言葉」で応える=あいづち
相手の言葉をきちんと聞き、さらに適切なあいづちがコミュニケーションを円滑に進める。あいづちは下記のようなバリエーションを新刊で紹介している。
話し方を学ぶと人生が豊かになる
話し方のマインドを整えて、言語表現と非言語表現で相手の承認欲求に応えることで、共感を呼ぶ話し方が可能になるという小林さん。話し方は年齢や経歴を問わず、誰でもすぐに変えることができて、あらゆる場面で役に立つ便利なスキルのひとつでもある。
「話し方の学びは人生の豊かさにつながります」と語る小林さんは、ビジネスシーンの中でも「相手を尊重しながら話そう」と意識をするだけで、コミュニケーションに大きな変化が現れると、アドバイスしてくれた。
もともと場を読んだり、忖度できる日本人は非言語表現を理解する能力が高い。その上で適切な言語表現を身に付ければ、グローバルなビジネスシーンでも大きな力を発揮できると、小林さんは励まし、私たちの背中を押してくれた。
「話し方は未来への投資」として、今からでも相手を尊重しながら話すことを心に決めて、少しずつでも取り組めば、話し方は永遠に成長できる。さらに、話し方を向上させることは、コミュニケーション能力の向上だけでなく、自分らしい生き方をも実現させてくれる。まずはアメリカの中高生が学んでいる「人の『共感』と『信頼』を勝ち取る話し方」を実践していこう。
小林 音子(こばやし おとこ)さん
コミュニケーションコーチ、TEDxスピーチトレーナー、エグゼクティブメディアトレーナー。オリオンズベルトグローバル代表取締役。俳優。
コミュニケーションにおけるマインド、言語表現、非言語表現の3つの観点から「自己理解」を深め、「伝える技術」が向上するメソッドを確立。アメリカでコミュニケーションのスクールを複数回視察し、得た知見をメソッドに取り入れる。TEDxスピーカーやビジネスパーソンをはじめ、講師、学生、俳優、タレントに至るまで多様な分野の方に「表現力」のトレーニングを提供。
メディアコーチとしては、政界や経済界のエグゼクティブ、広報担当者にメディア対応に必要な技術をコーチング。コミュニケーションコーチとしては、子供からシニアまで幅広い年齢層に向けて「話し方」「聞き方」の基本から、受験・就職面接対策、お見合い対策などをコーチングする。
「アクティング」「リスペクトトレーニング」「セールストレーニング」「リーダーシップトレーニング」「アクティブリスニング」「ネゴシエーション」「EQトレーニング」「身体表現マネージメント」「アサーティブコミュニケーション」「メタ認知トレーニング」など多角的に執筆・講演・ビジネストレーニングを手掛ける。
文/柿川鮎子