公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンは、難病に苦しみ自宅から遠く離れた専門病院で通院する子どもたちやその家族をサポートする施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を運営している。
ハウスは全世界に約380か所に開設されており、日本にも12のハウスが稼働中だ。
そのひとつ「ドナルド・マクドナルド・ハウス さぽろ」(以下、「さっぽろハウス」)に設置されることになった「センサリールーム」について紹介する。
「センサリールーム」を体験するご家族の様子
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」とは
現在、全国で難病に苦しむ子どもの数は推計14万人と言われて入れる。
このような子どもたちは専門病院で治療を受けるために自宅から遠く離れた病院に入院・通院することも多く、付き添う家族にとっても精神的・肉体的・経済的な負担は大きい。
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」は「HOME AWAY FROM HOME(わが家のようにくつろげる第二の家)」をコンセプトに、家族の負担を少しでも軽減し、安らげる場所を提供している施設だ。
ハウスの運営費はすべて個人や企業からの募金や寄付でまかなわれており、ハウスのスタッフもボランティアにより行なわれている。
「さっぽろハウス」は2008年12月に開設し、主に隣接する北海道立子ども総合医療・療育センター(愛称:コドモックル)に入院・通院する子どもとその家族が利用し、これまでにのべ7050家族が滞在、3万678泊を提供している。
「さっぽろハウス」の外観
クラウドファンディングにより誕生した「センサリールーム」
昨年、「さっぽろハウス」では子どもや家族が「治療の合間にリラックスや五感をくすぐる体験を通じて、少しでも利用家族の助けになることができないか」という思いを抱き、センサリールームの設置費用を募るクラウドファンディングを実施。
目標金額450万円に対し、516万2000円の支援が集まった。そして、2024年6月10日、センサリールームの利用が開始された。さっぽろハウスの利用者、コドモックルに入院する患者から利用を始める。
センサリールームはパナソニックエレクトリックワークス社がコンセプトを設計、提案をしている。
北海道立子ども総合医療・療育センター長の髙室医師は次のように語る。
「とても安らげる空間。(5平方メートルほどの空間なので)少し手狭かなとは思ったが、完成したセンサリールームを入ってみるとすごく居心地がよかった。今後、いろいろなところに設置してほしい」
「さっぽろハウス」に設置されたセンサリールームは、物置に使われていた部屋を改築して作られた5平方メートルほどの空間。
薄暗い明りの中、柔らかく光るファイバーや照明の揺らぎが視覚的なリラックス、ポコポコと泡のはじける音がかすかに聞こえるバブルタワーと呼ばれる装置が聴覚的なリラックス、そしてyogiboやファイバーといった設置物が触覚的なリラックスを与えてくれる空間となっている。
「落ち着ける空間という意味では『さっぽろハウス』の大きさは一つの目安になりますが、必ずしもこの大きさでないといけないというわけではありません。
例えば、利用者の年齢が大きくなると狭い空間でずっとじっとしているのは難しいかもしれません。利用者にエネルギーを発散してからリラックスしてもらうために30平米くらいの空間でハンモックやトランポリンを設置するというコンセプトもあると思います。
利用人数、部屋の大きさや各施設のコンセプト、利用者の年齢に合わせてセンサリールームはカスタマイズして提案することができます」(パナソニック担当者)
照明など、一部にはパナソニックの機器が使われている
髙室医師も「ぜひ触ってほしい」と語るファイバー素材の束
要望に合わせて「センサリールーム」の大きさや設計はカスタマイズすることが可能とパナソニックの担当者は語る
取材・文/峯亮佑