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コロナ禍収束に伴うリベンジ消費で旅館やホテルの景況感はどう変化した?

2024.06.17

コロナ禍が収束し、行動制限なく自由に移動できるようになって久しい。そのため、人気の観光地は以前のような賑わいを取り戻しているが、旅館・ホテルの客足はコロナ禍前と比べて、どの程度回復しているのだろうか?

帝国データバンクはこのほど、「国内旅館・ホテル事業者の景況感」について調査・分析を行い、その結果を発表した。

旅館・ホテルの販売単価は高止まり傾向、国内宿泊旅行単価は63,212円/人・回(2023年)

観光庁は、2023年における日本人の国内宿泊旅行の旅行単価は63,212円/人・回[1](速報値)だったと発表した。コロナ禍以前の2019年の55,054円と比較すると14.8%増で8,000円以上の増加となっている。

国内宿泊旅行単価は、新型コロナウイルスの影響が一服した2022年の段階ですでに、2019年の旅行単価を超えていた。その背景には、抑制されていた旅行へのリベンジ消費による需要増加や原材料・エネルギーコストの高騰がある。

さらに、価格転嫁の進展や、人材確保にともなう賃金の上昇も、観光地における飲食代やお土産代、宿泊料金などの値上げにそのまま直結し、旅行単価の上昇につながっているとみられる。

また、堅調に回復している訪日外国人の存在も、需要が供給を上回る状況を引き起こし、単価上昇が加速する要因となっている。とりわけ、帝国データバンクの「TDB景気動向調査」によると、「旅館・ホテル」の販売単価が上昇したとする割合[2]は2022年8月以降20カ月連続で60%を超え、2024年3月時点では75.3%と4社に3社は上昇したと捉えていた。

「旅館・ホテル」の直近の景況感、6割の企業で『良い』と捉える

2024年3月のTDB景気動向調査では、「旅館・ホテル」の60.0%の企業で景況感を『良い[1]』と捉えていた。他方、『悪い[2]』とする企業は16.7%にとどまった。

特に3月は春休みシーズンを迎えるなか、企業からは「海外を含め国内のお客さまも多い」「ようやくコロナ前の売り上げ水準に戻ってきた」というように、明るい声が寄せられている。

また、コロナ禍で低下していた設備稼働率についても、2022年4月以降は『上昇[3]』と捉える企業の割合が『低下[4]』を逆転し、直近の2024年3月は59.7%となった。観光・レジャー需要ほか、出張需要の復活なども好材料となっていよう。

ただし、深刻化する人手不足への対応や、食材をはじめアメニティ、リネン関連費用、冷暖房費などの高止まりなどは企業収益を圧迫する要因となっており、宿泊料金の値上げは続くと見込まれる。その結果、国内のリベンジ消費が一巡する方向にあるなかで、消費者の宿泊離れを回避するために各社は独自性や希少性、高級感などの対応を迫られることとなり、生き残りをかけ優勝劣敗が顕著となっていくと予想される。

<注記>
1. TDB景気動向調査において、現在の景気について「非常に良い」「良い」「やや良い」のいずれかを回答した企業の割合

2. 同調査において、現在の景気について「非常に悪い」「悪い」「やや悪い」のいずれかを回答した企業の割合

3. 同調査において、対前年同月の設備稼働率について「非常に上昇した」「上昇した」「やや上昇した」のいずれかを回答した企業の割合

4. 同調査において、対前年同月の設備稼働率について「非常に低下した」「低下した」「やや低下した」のいずれかを回答した企業の割合

<調査概要>
※調査期間:2024年3月31日まで
※調査機関:株式会社帝国データバンク
※本調査は景気動向オンラインおよびTDB REPORT ONLINEに掲載
<TDB REPORT ONLINE> 各種企業の膨大な情報をもとに、業界の動向や注目ビジネスを網羅した経営情報サイト

出典:株式会社帝国データバンク

構成/こじへい

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