マイクロソフトとLinkedInでは、職場でのAI活用の実態について調査を行ない、「2024 Work Trend Index」として5月に公開した。今回の調査において、日本でもAI利用者の約8割が自前のAIを職場で利用している実態が判明。企業データを安全に利活用できる環境整備が急務であることが示唆された。
本稿では同社ブログを元に、その概要をお伝えする。
世界で進む職場でのAI活用
調査回答者の 46% が最近 6か月で生成 AI を仕事で使用し始めたと回答しており、世界的にこの半年で生成AIの利用が倍増している。
利用率は北米で 66%、アジア太平洋地域(以下、アジア)で 83%、欧州で 65%、日本では 32%日本での利用が未だに低い傾向が見られる。この背景には、言語の壁や生成 AIサービスの成熟度等といった複合的な要素が影響しているものと思われる。
■競争力の維持にはAIの導入が必須
世界全体ではビジネスリーダーの79%が、競争力を維持するために自社でのAI導入が不可欠であると考えている。北米 (76%)、アジア (84%)、欧州 (74%) では7割を超えており、日本も67%と概ね同様の傾向が見られた。
ビジネスリーダーは AI がビジネス上の必須課題であることに同意する一方で、世界全体では半数以上にのぼる60%が、自らの組織においてAI導入によるインパクトを収益増につなげるための計画やビジョンを欠いているとも考えていた。
AIと向き合うことが不可避であるにもかかわらず、すぐに投資収益率 (ROI) を示さなければならないというプレッシャーが、リーダーを躊躇させている状況が考えられる。
■増える職場での 〝Bring Your Own AI〟、日本でも約8割
一方、従業員においては急速にAIが職場に浸透し始めていることがわかった。
全世界でAIを使っている人の78%が自前のAIツールを職場に持ち込んでおり、特に中小企業の従業員 (80%) において Bring Your Own AI (私的 AI 利用) が進んでいる。
この傾向は全年齢層に共通で、背景にはコロナ禍時に加速した仕事のペースや量が緩和されず負担を感じたり、燃え尽き感に苛まれたりといった事情が推察できる。
AIを利用しているユーザーは、AIが役立つこととして、時間の節約 (90%)、最も重要な仕事への集中 (85%)、より創造的になれる (84%)、より仕事を楽しむことができる (83%) といった利点を挙げている。
AIの利用率では他国・地域よりも低い傾向にあった日本も、BYOAIしていると答えた人は78%と世界平均と同じだった。
今後のAI利用拡大に伴い、日本の職場でもBYOAIの増加が予想される。事業のさらなる推進に向けたAI活用に加え、企業データを安全に利活用するための環境整備がビジネスリーダーにとって急務となるだろう。
関連情報
https://news.microsoft.com/ja-jp/features/240509-ai-at-work-is-here-now-comes-the-hard-part/
構成/清水眞希