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クーデターから3年が経過したミャンマーで開催されたW杯予選、現地の異様な雰囲気をレポート

2024.06.12

国軍による厳しいネット規制。接続に四苦八苦

 そこで新たな問題となったのが、ネット接続だ。国軍支配が始まって以来、規制が厳しくなり、フェイスブックやX、インスタグラムなどのSNSが見られなくなったというのだ。2014年と2019年に赴いた際には東南アジア周遊SIMカードも使えたが、今回は難しくなったという事前情報だった。

 そこで、いろいろ調べて、「2024年現在、ミャンマーで唯一使えるSIM」と書かれていた24か国周遊のDHAのSIMを持参したが、案の定、アンテナが立たない。仕方ないので、空港内にあるATOMという会社の10ギガのSIMを2800円程度で購入し、とりあえずホッとした。

 けれども、携帯会社スタッフから「回線が非常に不安定で、いろんなVPNを入れておかないとつながらない」と言われ、紹介された2つのVPNをインストール。少し安心した状態で、Grabでタクシーを呼んで移動した。

モンスーン(雨季)セール中のショッピングセンター内(筆者撮影)

 ヤンゴン市内は人々が普段通り生活している様子で、バスなどの交通機関も通常通り、運行していた。レストランやスーパーなども営業していて、パッと見は5年前の訪問時と全く変わらないように見えた。

 ホテルは前回滞在したスタジアムから徒歩で行ける3つ星を候補にしていたが、「試合後の夜遅くに歩いて帰るのは厳禁」とJFAからお達しが出たため断念。安全やネット環境を考えて、代表の宿泊先に近いインヤー湖畔にある5つ星のセドナ・ホテルを予約した。

 1泊1万1000円とフリーランスの筆者には高いが、ネット回線が安定し、普段使っているVPNも接続できたため、TverやNHKプラスも見ることができたし、LINEやフェイスブック、Xなども使えた。こういう時は多少、コストがかかっても安心を買うのが得策と言える。

ショッピングセンター内で食事をする若者たち(筆者撮影)

「不要不急の外出は控えてください」という注意喚起もあったため、王宮や世界遺産のシェエダゴンパゴダがある中心街には一切行かず、外出したのはホテル前のショッピングセンターとスタジアムのみ。そういう中でも人々は何事もなかったかのように買い物をしたり、仲間同士で食事をしたりしていた。

「今は一見、平穏ですけど、停電があったり、ネット回線が止まったりというのは日常茶飯事。国軍と市民が衝突する事件が起きたりして、心から安心して暮らすことができない状況にあります」とホテルスタッフは顔を曇らせた。彼らは危険に遭わないように最新の注意を払いながら日常生活を営んでいるのだろう。そういったピリピリ感を我々日本人は知らない。平和な社会に改めて感謝しなければならないと痛感させられた。

ショッピングセンターで食べた現地の食事(筆者撮影)

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