日本経済を牽引し、難しい社会課題を解決してこそのイノベーション。その萌芽を育み、未来のユニコーン企業と成り得る実例として、新事業に注力する2社を取材。
ドローン利活用
国土交通省
「中小企業イノベーション創出推進事業」
採択金額:約8.6億円以上(ほか複数案件あり)
エアロセンス
ドローン技術で人手不足を解消し重要な社会インフラを下支え
エアロセンス
代表取締役社長
佐部浩太郎さん
東京大学大学院工学系専攻電気工学科修了。 ソニーに入社し、aiboの商品化などに携った後、2015年、エアロセンス社の立ち上げに参画。
ドローンソリューションの先駆者として業界をリード
2015年、ソニーと、自動運転技術などを手がけるZMPとの合弁で生まれた同社。ソニーでaiboの開発を行なうなど、ロボット知能のハード&ソフト面の双方に強みを持つ現社長・佐部浩太郎さんのもと、国産ドローン機体の企画・開発、飛行を軸に河川、山間部、高速道路橋梁部の点検ソリューションのほか、医薬品配送の実証実験なども積極的に行なっている。
「これらの事業は多くの方に便利だと思っていただける一方で、法規制や利害関係により、複雑な調整が必要。国からの支援はその解決にも有効だと思っています」(佐部さん)
実際に、同社は複数のイノベーション事業に応募、採択され、パートナー企業との協業を実施。官公庁が行なう実証実験でも確実に実績を積み上げている。
中でも同社のVTOL型ドローンは、垂直離着陸と水平飛行、両方の機能を持ち、目的に応じてカメラやセンサーを別載できるのが特徴。さらに測定したデータは自社開発ソリューションで分析可能。顧客のニーズに合わせたきめ細やかな課題解決も大きな武器になっている。
水平&垂直の二刀流飛行が可能な『エアロボウイング』
最高時速100km/hで、最長50kmの飛行が可能なVTOL(Vertical Takeoff and Landing)型ドローン。W2150×D1235×H415mm、重量9.45kg。
カメラや様々なセンサーで広域エリアを撮影
マルチコプター型ドローンでは担えない長距離、広範囲の撮影や点検が可能。災害現場の撮影や山間部のインフラ施設点検などでも活躍する。
エアロセンス・佐部社長に3つのQuestion!
Q1|解決したい課題は?
「ドローン飛行による点検、防災、輸送、農業など、様々な産業の合理化・高度化により、少子高齢化と人手不足によって起こり得る社会インフラの劣化を食い止めることです」
Q2|一番の強みは?
「機体設計から測定データの分析まで自社内で行なうワンストップの開発体制。自動飛行中、乱気流に揉まれても安全に着陸、リカバリーできる機体は安全性の高さも自慢です」
Q3|今後の展望は?
「官公庁や様々な国内企業からのドローン利活用の引き合いが続く中、河川点検や精密農業、防災対応などで社会の役に立ち続けつつ、業績を伸ばしていきたいと思っています」
〈DIMEの読み〉産業のほか、輸送の視点でも広く社会に貢献する可能性を感じられる。2024年問題を発端とした輸送人員不足や、僻地での人手不足を一気に解消してくれそうだ。