ブランド最上位モデルの改善ポイントはあえて「お釜」の全集中
2019年に誕生したタイガー魔法瓶の炊飯器ブランド「ご泡火炊き」はシリーズ合計で見て、当時の約4倍の売上を持つブランドに成長。2023年の売上実績は前年比約120%に着地し、タイガー魔法瓶を代表するブランドとなった。
高価格帯商品へのニーズの高まりを受けて、2024年6月21日(金)に発売される最上位モデル「土鍋ご泡火炊き JRX-G100/G060」では、あえて操作機能はそのままに、上位モデルを示す名称にもなっている「本土鍋」を進化。
タイガー魔法瓶の炊飯器の土鍋には三重県四日市市の萬古焼を採用しているが、ひとつの土鍋が完成するまでに3か月がかかっている。それでも採用する理由には、土鍋は蓄熱性が高く、圧倒的な高火力が可能であることが挙げられる。また、それで炊き上げることによってご飯の甘みを引き出すことができるのも大きい。そして鍋の中での泡立ちがよく、米を傷つけずに炊き上げることによって弾力のあるご飯に仕上げられるためだ。
今回、その点をさらにブラッシュアップするため、タイガー魔法瓶としてはじめて土鍋底面の発熱体に蓄熱効果の高い火山灰を練り込んだ。
金属製の鍋と異なり徐々に温度が鍋全体に伝わっていくという土鍋の特性を生かし、温度差を発生することにより熱対流を生み出すことでタイガー史上最高火力の「300°C WレイヤーIH」と相乗効果を生む大火力を実現。
また本土鍋に塗布する釉薬を見直し、遠赤効果を高めた。これによって現行の前モデルと比較すると甘みは108.5%、弾力は105%にアップしたという。
最上位モデル「土鍋ご泡火炊き JRX-G100/G060」。昨年100周年記念で発売されたモデルの後継機と位置づけられている。
「土鍋ご泡火炊き JRX-G100/G060」で炊いたご飯で作ったおにぎり。
同時に準上位モデル「土鍋ご泡火炊き JPL-T100」、「ご泡火炊き JRI-A100/A180」も発売する。
すでに展開している北米、中華圏などグローバル戦略も幅広く行なっており、こちらもさらに力をいれていく。
炊飯器シェアナンバーワンを目指すタイガー魔法瓶の戦略
2025年のさらなるシェアナンバーワンを目指し、2024年は3つの軸を考えている。
1つ目は、今回発表されたフラッグシップモデルのJRX型。土鍋の本質を高めていくというポイントを強く打ち出した製品をアピールしていく。
2つ目は、さらなるラインナップ強化、3つ目はプロモーション強化による「ごはんの王道訴求」というブランドの確立を挙げた。
「日本古来の炊飯器という製品を扱うメーカーの責任として、日本の食文化や日本のものづくりに取り組んでいますが、文化への賛美もあれば、実状では様々な課題もあります。炊飯器という商品を真ん中に位置しながら、それぞれがうまく循環する役割を果たしていきたい」(岡本氏)
お米を愛する日本人に響く、タイガー魔法瓶の良質な炊飯器づくりの努力は続く。
取材・文/北本祐子