缶製品なのに1本ずつの個体差も楽しめるレモンサワー
『未来のレモンサワー』の画期的な点がもうひとつある。缶製品でありながら、保存期間の長さによって味わいの変化が楽しめることだ。レモンスライスから味や香りの成分が抽出しつづけるためである。
「本物のレモンスライスを入れているので、その個性が1つ1つ異なります。缶の中で香りと味がしみだし、熟成とともに、レモンスライスの味が変化していきます」(前出・梶浦)
一般論として、缶製品は賞味期限までは味も香りも一定であることが望ましい。その点でも『未来のレモンサワー』は型破りだ。購入後、半年置いて飲んでみるなんて楽しみ方もできるのだ。
「本物のレモンのゆえの熟成を楽しめるレモンサワーです」とマーケティング本部長梶浦瑞穂氏。
また、レモンは工業製品ではないゆえ、ひとつひとつ異なる。形も微妙に違うし、種の数も大きさも違う。
ほどよい甘みと酸味と苦味の『未来のレモンサワー オリジナルレモンサワー』(左)と、甘くない『未来のレモンサワー プレーンレモンサワー』(右)の2種類。345ml/希望小売価格 271円(税別)
『未来のレモンサワー』の肝心な風味だが、本物の生だけに、そのフレッシュ感は既存品とは、一線を画している感がする。酸味や甘みの他、レモン特有の苦味も感じられ、本物感が増している。
さらに、最後はレモンを食べられる。筆者も食べてみた。ほどよい甘みの『オリジナルレモンサワー』と、甘みのない『プレーンレモンサワー』では、レモンの甘みが違った。
近年、RTD市場は拡大しつづけ、中でもレモンサワーはその牽引役をになってきたが、2022年~23年の販売額は前年割れしている。販売量にはコロナ禍の影響もあるだろうが、そんななかで生まれたレモンスライス入り製品。RTD界のゲームチェンジャーになる可能性は高い。
「今日、新しいレモンサワーのカルチャーが生まれると確信しています」と語る梶浦氏。
「缶なのにスライス入り」は、これからのRTDのスタンダードになるだろうか?次なる「未来の○○」にも期待だ。
居酒屋で一世を風靡した生グレことグレープフルーツ、ライム、マスカットなどの人気も高い。第二、第三の「未来」が楽しみだ。
取材・文/佐藤恵菜