およそ7割が相続登記の義務化について「知っていた」
相続登記の義務化とは、2024年4月1日から施行された「民法等の一部を改正する法律」に基づくもの。相続によって不動産の所有権を取得した場合、その所有権を登記することが義務化される制度だ。
従来、相続を原因とする登記は任意だったが、相続登記が行われないまま放置された不動産が増加し、所有者不明の土地問題が深刻化していることより、これを解消して、不動産登記の正確性を高めるために相続登記が義務化された。
この義務化により、不動産の所有者や持分が明確化され、不動産の正確な管理が促進されることが期待されている。
具体的には、不動産の所有者が亡くなった場合、相続人はその所有権の取得を知った日から3年以内に相続人等の権利者が所有権移転登記を申請することが義務付けられた。
この期間内に登記申請を行わないと、正当な理由がない場合は過料が発生する可能性がある。
相続登記の義務化について、知っていたかどうかの質問では73.1%が「知っていた」と回答。相続登記手続きに関わる人には一定の認知が広がっていることがわかった。
次に、昨年中に相続登記手続きを開始した人のうち、相続が発生してから3年以上経過していた人の割合は23.3%、10年以上相続手続きをしていなかった人は9.9%と全体の約1割を占めていた。
なお、最も古いケースでは、80年前の相続手続きに着手した人がいた。
■故人の生前にやっておけば良かったことは「相続について相談」
故人の生前に「やっておけば良かった」と思うことがありますか、という問いに対しては、「生前元気なうちに、相続について相談しておけばよかった」が全体の36.7%で最多となり、「日頃から相続についてもっと勉強しておくべきだった」が34.5%、「財産を記録しておく、通帳の置き場所を決める等まとめておいてもらえばよかった」が25.7%となった。
「生前元気なうちに、相続について相談しておけばよかった」という回答が最も多いことから、家族間でのコミュニケーションの欠如が後悔の一因となっていることが考えられる。
また、その他の回答では「カード決済などの解約を事前にしておくこと」という回答がみられた。自動引き落としや定期支払いの契約は、故人となった後も続いてしまい、遺族がこれらを把握していなければ、余計な費用が発生する。
このような状況を避けるためにも、生前にこれらの契約を整理しておき、関連する情報を家族や信頼できる人に共有しておくことが大切だ。
調査概要
調査名/第2回 相続手続きに関する実態調査(2024年)
調査対象/2023年1月~同年12月に「いい相続」経由で専門家(行政書士または税理士)との無料面談を行った方、および「相続費用見積ガイド」経由で専門家に相続手続きを依頼した人
調査期間/2024年3月29日(金)~4月21日(日)
調査方法/インターネット調査
有効回答数/417件
関連情報
https://www.i-sozoku.com/
構成/清水眞希