職人社長・平松 明展氏(ひらまつ あきのぶ)が解説する「過去最大規模の住宅補助金制度」とは
現在、省エネな家づくりに関する過去最大の補助金制度が実施されています。その額は、なんと4,215億円です。
これをうまく活用すれば、100万円、200万円も得する内容になるため、リフォームや新築を予定している方は、この補助金を知った上でこれからの家づくりを考えましょう。
「住宅の省エネリフォームへの支援の強化」という補助金制度は、これから家づくりを検討している方、リフォームをする方、家づくり・住まい方を考えている方すべてに該当する内容です。
(引用:https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231110004/3r20231110004-1.pdf)
1省エネ改修という内容の中に、1)高断熱窓の設置、2)給湯器、3)開口部・躯体等の省エネ改修工事があります。
1)高断熱窓の設置
リフォームで窓周りの断熱性を高めると、結構費用が掛かります。そこで、断熱性能が一定基準の窓を付ければ、半額でできるという内容の補助金です。つまり、50%オフで高断熱の窓に改修できるのです。
1件あたりの取得額が最も高額のため、断熱性や省エネに関して窓がいかに重要かということが補助金の額からも表れています。先進的窓リノベ事業の補助金で、1,350億の予算があります。
高断熱窓の設置を考えている方は、補助金の枠が早めに埋まってしまう可能性もあるため、どこの会社に頼むかも含め、しっかり検討し、納得した内容の上、速やかに進めると良いでしょう。
2)給湯器
(引用:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001707996.pdf)
1つ目は、高効率給湯器(エコキュートなどのヒートポンプ給湯機やハイブリッド給湯機、または家庭用燃料電池)の設置です。オール電化や省エネにしたい場合、給湯機は替えた方が良いです。
また、ある程度年数が経過している給湯機がある場合は、工事の時に一緒にやるのがオススメです。エネルギー効率を考えると、給湯機を交換することは有効なため、積極的に使って良いでしょう。エネファームなどの家庭用燃料電池は結構高額です。
2つ目は、既存賃貸集合住宅におけるエコジョーズ等取替で、エコジョーズやエコフィールに替えると、追い焚き機能なしは5万円、追い焚き機能ありは7万円の補助が受けられるようになっています。
3)開口部・躯体等の省エネ改修工事
これは、国土交通省の支援事業です。リフォーム工事の場合、子育て世帯・若者夫婦世帯は上限30万円、その他の世帯は上限20万円。更に、長期優良住宅にリフォームを行う場合は、子育て世帯・若者夫婦世帯(※1)は上限45万円、その他の世帯は上限30万。
そして、子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅の購入を伴う場合は、上限60万円。つまり、中古住宅を購入した上で、断熱改修をした場合は、子育て世帯・若者夫婦世帯は上限60万円もらえる補助金です。
(※1)子育て世帯は18歳未満の子を有する世帯、若者夫婦世帯は夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
2その他のリフォーム工事とは、11)~3)のいずれかの工事を行った場合に限りますが、住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等のことです。
省エネな家づくりリフォーム工事をした上で、改修や子育ての対応またはバリアフリーの改修をした場合は、補助額のリフォーム工事内容に応じて定める額をもらうことができる、つまり、併用できるということです。
例えば、高断熱の窓を設置(補助金200万円)とバリアフリー改修をした、中古住宅の購入も伴う子育て世帯(補助金60万円)ならば、260万円の補助金をもらえます。
中古住宅を購入して、断熱改修で窓を付け、換気機能付きエアコンを付ければ、補助金をたくさんもらえるだけでなく、エネルギー効率も良くなります。
断熱改修をすると金額が増えますが、補助金によりコスト負担が減るので、高性能な良い中古住宅に住むためのコストが下がります。良い物件が見つかれば、オススメな方法です。
上記以外にも「質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅の支援」という補助金制度があります。
この補助金制度の目的は、エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯よる高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図ることです。
(引用:https://www.env.go.jp/content/000171285.pdf)
補助対象は、高い一定の省エネ性能を有する住宅新築そしてリフォームです。まず、子育て世帯による住宅新築に該当する長期優良住宅の補助額は100万円で、ZEH住宅の補助額は80万円です。
長期優良住宅とは長持ちする家づくりも考えられている住まいで、ZEH住宅はエネルギーをなるべく使わなくて済む住まいです。トータルコストの観点で考えると、ZEH住宅でも耐久性の低い家ならば環境負荷は減らせません。
良い家づくりはお金が掛かります。補助金の予算が増えることにより、省エネな家づくりをしたいけどお金が足りず建てられないという方の支援をすることができます。新築を建てる方こそ必須でこの補助金を取りに行きましょう。
長期優良住宅やZEH住宅に該当しない家は住宅ローン控除が受けられないこともあります。省エネ等級4も満たない家は住宅ローン控除が0円になります。浪エネな家や環境負荷の高い家は補助を打ち切られるのです。
省エネで環境負荷の少ない家づくりが重視されていくことになり、それをより加速化するための最大規模の補助金になっていると思います。
子育て世帯の家づくりや住まいのコストを下げるための有効な手段となりますので、ぜひ活用して高性能な良い家をつくり、生活のコストやリスクを下げていきましょう。
関連情報
https://www.hiramatsu-kenchiku.jp/
構成/Ara