「もはやタワーマンションは住宅にあらず!?」LIFULL HOME’S総研チーフアナリスト 中山登志朗氏の考察
衝撃的なアンケート結果を確認した際の感想です。
住宅は数世代に渡って長く住み続けるものから、核家族化によってライフスタイルやライフステージに合わせて住み替えるものに変わりましたが、都市圏に所在している現代のタワーマンションについてはさらに意識が進み、交通利便性の良好な都市圏中心部でステータス性の高い(=タワー型)物件であれば、十分キャピタル・ゲイン(売却益)が得られる可能性が高いことを意識して購入していること、さらに、購入後もその意識が変わることなく計画通り売却していることが明らかになりました。
つまり、購入時点から売却すること=出口戦略をイメージすることで、将来の資産形成に資するものを購入するとの意識を持つ方が多いこと、そしてその意識がタワーマンションに向かっていることが今回の調査で浮き彫りになったと言えるでしょう。
タワーマンションは交通利便性と眺望に優れたステータス性の高い住宅ですが、それだけではなく社会的には資産形成の手段として機能していることが良くわかる結果です。
また、売却した結果、売却差益が2,000万円以上との回答が26.7%、1,500万円以上が16.1%、1,000万円以上が15.1%などあわせて8割ほどの回答者が利益を得ており、多くのタワーマンション購入者が売却して資産形成に成功したことになります。
ただ、これだけの売却益を得ながら、もっと高く売れたのではないか、売却後にさらにエリアの利便性やステータスが上がったと考えるユーザーも一定数おり、売却の最適解を見出すことの難しさも明らかになっています。
その意味では、タワーマンションは既に株式と同じく市場動向を常に確認し、売買のタイミングを見計らうことが必要な“金融商品”になっていると言えます。
一方で、売却差損が発生したユーザーが11.5%いることから、タワーマンションがエリア・物件によってはコモディティ化するリスクを孕んでいると考える必要があります。
タワーマンションは金融商品としての側面を持ち合わせてはいますが、“自分と家族が幸せに暮らすための器”であることを忘れずにいたいものです。
調査概要
調査実施期間:2024年4月24日(水)~5月1日(水)
対象者: 過去5年以内に、一都三県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)か大阪府にある、自分か配偶者名義のタワーマンションを売却した、25~84歳男女(※タワーマンションの定義:地上20階建て以上のマンション)
調査方法: インターネット調査
有効回答数:311人
関連情報
https://www.homes.co.jp/satei/
構成/Ara