トップ10%の優秀層が企業に求めるのは「休暇」よりも「技術力」
続いてITエンジニアとして就職先を選ぶ際に重視するポイントを聞いたところ、上位は「給与がよい」「福利厚生が充実している」など待遇面で、一般的な学生と同様の傾向でとなっていた。
ITエンジニアを志望する学生特有の項目としては、「自分が望む職種に就ける」(4位)、「研修制度が充実している」(5位)、「開発環境・業務環境が整っている」(8位)などが挙げられ、ITエンジニアとして自身の技術力を向上させやすい環境を重視していることが分かる。
特に「自分が望む職種に就ける」かどうかは、近年、ITエンジニア職を志望する学生のなかで重要度が高くなっていた。
多くの学生はどの職種に配属になるか分からない「配属ガチャ」を恐れており、ITエンジニアの志望度が高い学生ほど入社後の職種が確約されている企業を選ぶ傾向が強くなっている。
上記の図は、「就職人気トップ10企業」について学生が選んだポイントを国内企業、外資系企業別で比較したもの。国内企業、外資系企業の選択理由トップ5はそれぞれ以下の通り。
■国内企業の選択理由トップ5
・「給与がよい」(67.1%)
・「福利厚生が充実している」(55.7%)
・「社風が自分に合う」(42.8%)
・「研修制度が充実している」(37.5%)
・「自分が望む職種に就ける」(36.9%)
■外資系企業の選択理由トップ5
・「給与がよい」(75.5%)
・「自分が望む職種に就ける」(48.4%)
・「社会的な貢献度が高い」(40.5%)
・「休暇をとりやすい」(37.1%)
・「技術力に定評がある」(33.2%)
国内企業、外資系企業ともにトップは「給与がよい」という結果に。しかし、国内企業を志望する学生が重視しているのは「福利厚生が充実している」、「社風が自分に合う」、「研修制度が充実している」など企業内の環境や制度であるのに対して、外資系企業では「社会的な貢献度が高い」(国内企業:13位)や「技術力に定評がある」(国内企業:11位)を重視しておりはっきりと傾向が分かれていた。
トップ10に入っている外資系企業はグーグルとアマゾン ウェブ サービス ジャパンで、両社とも世界中にユーザーを抱える大規模サービスを提供している。よりサービスの社会性や技術力の高さに魅力を感じる学生が、外資系企業を志望しているようだ。
上記トップ5以外にも、外資系企業を志望する学生が国内企業を志望する学生よりも重視しているポイントとして「成果を出せば評価される仕組みがある」 (9.7ポイント差)が挙げられ、外資系を志望する学生はよりチャレンジングな環境で自ら成果を生み出しながらITエンジニアとして成長していきたいと考えている様子が伺える。
※水色のグラフは調査対象者の全学生が回答したもの、青色のグラフは調査対象者のうちpaizaランクS・Aの学生が回答
paizaでは、特許取得済みのプログラミングスキル評価システム「paizaスキルチェック」を提供している。
オンライン上で実際にコーディングテストを行い、受験者のプログラミングスキルを6段階(S~Eのpaizaランクを付与)で客観的に可視化するシステムだ。
上記はこの「paizaスキルチェック」でS(全受験者の上位2%)・A(同上位8%)ランクを取得した学生の回答をまとめたものだ。※paizaランクの取得者割合は時期により変化する。
全学生が企業選択の際に重視する項目と「paizaランクS・Aの学生」が重視するポイントには以下のような違いがあった。
■学生全体よりも重視すること
・「技術力に定評がある」(S・A 6位/全体10位)
・「成果を出せば評価される仕組みがある」(S・A 7位/全体11位)
■学生全体よりも重視しないこと
・「休暇をとりやすい」(S・A 12位/全体6位)
・「研修制度が充実している」(S・A 10位/全体5位)
この結果からは、プログラミングスキルがトップ10%の優秀層の学生は、入社後の研修制度だけに頼るのではなく、自らの努力で積極的に技術力を磨き実力主義で評価されることを好む傾向があると言える。
また多くのS・Aランクの学生は自身の技術向上のために積極的に自己投資を行っており、投資によって向上したスキルに見合った報酬を求めて給与の高さを重視していると考えられる。