コロナ禍以降急速に普及し、今や日本社会に欠かせない働き方の一つとなっているテレワーク。通勤のストレスがない、働く場所を自由に選べるなどのメリットがあるこのワークスタイルだが、実際のところ、テレワークはビジネスパーソンの仕事における精神的な疲れにどう影響しているのだろうか?
NTTドコモの企業内研究所であるモバイル社会研究所はこのほど、全国の15~79歳男女を対象に「テレワーク」に関する意識調査を実施し、7,159の有効回答を得た。調査結果は以下の通り。
1.テレワーク非実施者の約6割、実施者の約8割が「テレワークが仕事の疲れを軽くする」と回答
仕事を行っている20~79歳の男女(学生・無職・専業主婦/主夫を除く)を対象に「テレワークが仕事の精神的な疲れにどう影響すると思うか」と質問した。
その結果、テレワーク未実施/テレワーク制度がない人の63%が「とても疲れが軽くなる/やや疲れが軽くなる」と回答した一方で、10%の人は「とても疲れが増す」と回答した。
これに対して、テレワーク実施者は80%が「とても疲れが軽くなる/やや疲れが軽くなる」 と回答し、「とても疲れが増す」と回答した人は3%となった。
テレワーク実施者は、テレワーク未実施/テレワーク制度がない人と比較して、テレワークが仕事の精神的な疲れを軽くするという肯定的な意見が多いことがわかった。シニア世代は若い世代と比較して肯定的な意見が少ないが、テレワークを実施しているシニア男性(60-79歳)の73%、シニア女性(60-79歳)の77%がテレワークに肯定的であることがわかった。
なお、回答傾向が男女の違いによって大きく異なることはなかったが、女性のほうが男性よりも全体的にテレワークに肯定的な割合がやや高いことが確認できた。
図1. テレワークが仕事の疲れにどう影響すると思うか(テレワーク有無・性年代別)
[調査対象:全国・20~79歳の仕事を行っている人・n=4178]
2. 日常生活が充実していると感じている人のほうがテレワークに肯定的
次に、テレワーク実施者を対象に、日常生活の意識とテレワークに対する意見の関係を調査した。図2は、「同世代の人と比べて毎日を楽しく生活していると思うか?」という設問に対する回答(「そう思う」、「ややそう思う」、「あまりそう思わない」、「そう思わない」)ごとにテレワークによって仕事の精神的な疲れにどう影響すると思っているのかを集計したものだ。
調査の結果、楽しく生活していると思う人の43%は、テレワークによって仕事の精神的な疲れが「とても軽くなる」と回答した。しかし、楽しく生活していると思わない人で「とても軽くなる」と回答した割合は20%であり、14%が「とても疲れが増す」と回答した。
テレワークに対する意見は、毎日を楽しく生活していると感じているかどうかによって影響を受けている可能性があるとわかった。
図2. テレワークが仕事の疲れにどう影響すると思うか
(生活意識別:同世代の人と比べて毎日を楽しく生活していると思うか)
[調査対象:全国・20~79歳のテレワーク実施者・n=773]
図3は、「睡眠によって休養が充分にとれていると思うか?」という設問に対する回答(「十分にとれている」、「まぁまぁとれている」、「あまりとれていない」、「全くとれていない」)ごとにテレワークが仕事の精神的な疲れにどう影響すると思っているのかを集計したものだ。
調査の結果、睡眠によって休養が充分にとれていると回答した人の46%はテレワークによって仕事の精神的な疲れが「とても軽くなる」と回答した。しかし、休養が全くとれていないと回答した人では「とても軽くなる」と回答した割合は20%であり、15%が「とても疲れが増す」と回答していた。
テレワークに対する意見は、毎日を楽しく生活していると感じているか、睡眠によって休養が充分にとれているか、といった日常生活の充実感によって影響を受けている可能性があることが確認できた。
図3. テレワークが仕事の疲れにどう影響すると思うか(睡眠意識別)
[調査対象:全国・20~79歳のテレワーク実施者・n=773]
3. スマホ利用時間が長い人のほうがテレワークに肯定的
同じくテレワーク実施者を対象に、スマホ利用時間とテレワークに対する意見の関係を調査した。図4は、仕事/学校での利用を除く、スマホの利用時間(「毎日4時間以上」、「毎日1~4時間未満」、「毎日1時間未満」、「週に数回程度かそれ以下」、「端末未所有」)ごとにテレワークが仕事の精神的な疲れにどう影響すると思っているのかを集計したものだ。
調査の結果、スマホの利用時間が長い人ほどテレワークが仕事の疲れを軽くするという肯定的な意見が多くなる傾向があるとわかった。
図4. テレワークが仕事の疲れにどう影響すると思うか(スマホ利用時間別)
[調査対象:全国・20~79歳のテレワーク実施者・n=773]
<調査概要 ―「2024年 健康意識とICT利活用調査」―>
調査方法:Web
調査対象:全国・15~79歳男女
有効回答数:7,159
サンプリング:QUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県のセグメントで日本の人口分布に比例して割付。
調査時期:2024年2月
構成/こじへい