毎年、春が近づいてくる時期に、とある水道用品メーカーの新商品カタログが密かに話題になる。なぜかというと、カタログの表紙が毎度異様に攻めたデザインだからだ。“わかる人にはわかる”その表紙というのがコチラ。
これは、どっかで見たことあるような…
そしてこんな表紙も。
フーン、なんか、見たことあるなぁ。
ならば、もう一つ!
これは…天国に行きたくなるアレかな。。。
明治12年創業、老舗の水道用品・水栓金具メーカー株式会社カクダイ
おわかりだろうか。
どれも伝説的な洋楽アルバムのかほりが漂うデザインになっていることを。
水道用品メーカーがなぜこんな突拍子もないことをしているのか?そんな疑問と妙にニヤついてしまう興味を抱かせてくれた企業こそ、大阪市に本社がある水道用品・水栓金具メーカー株式会社カクダイ。
蛇口や洗面ボウルなど水回り製品の製造・販売を手掛ける明治12年創業の老舗だが、実はこの会社、インパクト抜群のカタログを作ったり、採算度外視の商品を次々と発表している奇才企業でもあった。
これほどの老舗が果敢に、ある意味無謀な挑戦に身を投じているワケを知りたい。
もしかして無理をしているのかもしれない…
お節介だが少々心配になったので、「カクダイ」の真意を追求すべく取材を試みた。
話してくれたのは、株式会社カクダイ広報担当の能島さん。
――話題のカタログ表紙ですがいつ頃から始められたのでしょうか?
「始めたのは2020年度のカタログからで、某映画のヒットがきっかけで生まれました。そこから弊社代表の趣味とお客様の期待に応えたいという思いが重なり、現在も続いているというような状況です」
――代表の趣味!? てことは代表はかなりのロックファン?だって、カタログの表紙ってザ・フーやツェッペリンのアルバムのパロディですよね?
「う~ん、ですかねぇ。。。表紙のモチーフについてはよく取材していただいたりSNSで「今年は○○ですね」と投稿していただくのですが、その辺の詳しいことはあえて明言せず、全て皆様のご想像にお任せしております笑。ご自由に楽しんでいただければ幸いです」
多くを語らない「カクダイ」。それもまたマニアックな盛況を生み出す一因なのかもしれない。
――これまでのカタログで特に反響が大きかったものは?
「やはり初年度は反響が大きかったのではないでしょうか。実際に表紙についての取材も増えましたし、年々楽しみにしてくださっているお客様が増えているのも実感します。そして今年の表紙も反応が多かったですね」
2024年度の表紙は、あなたがここにいてほしいという気持ちになる。
そんな、独特なカタログは企業の魅力の後押しとなった。
「カタログのおかげで多くのお客様が弊社を知ってくれるようになり、新カタログの配布を始める3月~5月あたりにかけてはXでの反応を多く頂いています」
「すでに来年の予想をしてくださっている方も多く、そういった投稿がカクダイを知らない方の目に止まり、「面白い会社がある」と知っていただけるきっかけになっていることがありがたいですね」