3.桜のシーズンに訪れる旅行者の支払いパターン
また、今回データから、支出行動の違いも明らかになった。
例えば、桜のシーズン*では、タッチ決済の利用率がそれ以外のシーズン(非桜シーズン)に比べて高いことがわかる。(図4-1 及び 図4-2)このことは、タッチ決済を使い慣れた訪日観光客が世界中から訪れる、桜のシーズン*は、タッチ決済によって経済的成長を大幅に牽引する可能性を示唆している。そして、タッチ決済が観光シーズン中にレジ処理を簡素化し、顧客体験を向上させるだけでなく、採用する加盟店にとって、大きな変革の可能性があることがわかる。
実際、2023年の桜のシーズン*と2024年の桜のシーズン*を比較すると、タッチ決済対応の加盟店は、決済金額が53%、決済件数が58%も増加しているという結果がでており、タッチ決済の対応とその効果を示していると考えられる。
*桜のシーズンは3月から4月と定義している
データによると、欧米などのアジア以外からの長距離旅行者は通常、予算の20〜36%を高級な宿泊施設に費やし、東南アジアの旅行者の2倍の期間、滞在している。これは、より没入型の旅行体験を好む傾向を示しているといえる。一方、東南アジアの旅行者は旅行中にショッピングに強く傾倒しており、特に最終日には、支出の60%をショッピング関連に費やしていることがわかった。(図5-1 及び 図5-2)
また、東京や大阪などの都市部への旅行者は、消費の50%以上をショッピングと飲食体験に費やしていることが明らかになり、多種多様な料理とショッピングが彼らの旅行体験を一層豊かにしていると考えられる。一方、他の地域への訪問者は、予算の20%以上を宿泊に費やしている傾向が見えた。これらの地域では飲食やショッピングの選択肢が都市部に比べて限られている場合もあり、旅行者は、よりさらにリラックスした体験を求め、ホテルや旅館で提供される食事を好んでいる可能性がある。(図6-1 及び 図6-2)
上記のような分析を通して、桜の開花は日本の美しさを引き立てるだけでなく、観光業と経済にも大きく貢献していることがわかった。
構成/こじへい