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「手弁当」と聞けば、自分で作った弁当を持参することを想起するだろう。しかし実は、もう1つの意味があり、それは意外と知られていない。
本記事では、ビジネスシーンで使われる「手弁当」の意味や由来、例文を通した使い方を解説する。類義語と対義語も交え、理解を深めていこう。
「手弁当」の意味とは?
「手弁当」の意味を辞書で引いたところ、記されていた意味は以下の通り。
1 自分で弁当を用意して持っていくこと。また、その弁当。 2 自費で、あることのために働くこと。「—で選挙の応援をする」 引用:デジタル大辞泉(小学館) |
目的のために自費で労働することが「手弁当」の意味だ。つまり、ボランティア同然で働くことを意味している。
とはいえ、目的を達成するために自主的に手弁当の手段を取る人も珍しくない。
辞書での例は政治関連だったが、ビジネスをはじめ多岐にわたるシーンで活用できることを覚えておこう。
■「手弁当」の由来・語源
「手弁当」の由来は、自分で作って持参する弁当のことから来ている。手前弁当とも言う。自前の弁当には他者に費用の負担を求めないため、自費が大前提となる。そこから、対価を求めずに奉仕的に働くことを意味するようになった。
「手弁当」の使い方
「手弁当」はビジネスの場でよく使われる。ここでは、「ビジネスシーン」と「お礼を述べるシーン」での例文を紹介しよう。
■ビジネスシーンにおける例文
「手弁当」を、「自主的」と「否定的」に活用した例文を紹介しよう。
・都市高速の使用には会社から費用が出ないが、大口顧客なので手弁当で急いで向かおう。
・ノルマが未達だからといって、給料日前の手弁当は本当に困る。
懇意にしている得意先があるのなら、手弁当で恩に報いたいと思うことがあるだろう。
もう1つの例は、「ノルマ未達成の場合は自社商品を購入せよ」という事例だ。仲間内での愚痴として使えるので、ポジティブとネガティブそれぞれで使い分けられることを覚えておこう。
■感謝を表現する時に使う例文
「手弁当」で「成功」と「弟子入り」の、謝意を述べる際に使う例文を紹介しよう。
・今回の一大イベントの成功は、手弁当で参加してくれた方々のおかげだ。
・手弁当でも良いと弟子入り志願した君は、今や私の立派な右腕となっている。
これは、成功の喜びをメンバーに伝えているシーンだ。リーダーが謝意を述べる際に適している。
一方、苦難を乗り越えた弟子に感謝を述べる例は、職人をはじめとした技術者全般に使えることを覚えておこう。
「手弁当」を使う際の注意点
「手「手弁当」は、使う相手との関係に注意して活用するのが望ましい。ここでは、「上司・得意先」と「俗語」に関する注意点を紹介する。
■上司や得意先には使わないこと
「手弁当」は、自社の同僚やグループ内など、身内の間柄で使いやすい。しかし、上司や得意先に使うとマイナスイメージを与えてしまう。
具体的には、「お付き合いを継続させてもらっているので、今回は手弁当で承知しました」と言うと、「嫌味ではないか」と悪印象を与えてしまう。
このような場合、文言自体を省いてシンプルに「承知しました」と表現するのが良い。
■弁当持ちとの混同に留意
「弁当持ち」という言葉を聞いたことがあるだろうか。弁当持ちとは、弁当を持参することやその人を指す。また、他人の弁当を持つ付き添い人や、連れ添ってのご機嫌取りの人物を指す意味もある。
しかし、スラングでは「弁当持ち」は「執行猶予中の人」という意味もある。
スラングは辞書に載ることは少ないため安心とはいえ、「弁当持ちとしてお伺いします」と誤用すると、言葉を知る人から叱責される可能性もあるので注意が必要だ。
「手弁当」の類義語
「手弁当」を使うのに慣れていないからまだ使用は控えたいという方もいるだろう。ここでは、「手弁当」の類義語である「自腹を切る」と「無報酬」の2つについて紹介する。
■自腹を切る
「手弁当」の類義語で、馴染み深い言葉に挙げられるのが「自腹を切る」だ。自分のお金で支払うという意味がある。
また、自分で負担することを指すため、「手弁当」と通じる。しかし、ポジションが遠い相手には使いにくい。
したがって、対等の同僚や仲の良い先輩・後輩の間柄での使用なら問題ない。
■無報酬
「手弁当」は報酬のない、対価のない働きを意味するため、「無報酬」も類義語の1つだ。無報酬は、業務に対して謝礼を受け取らないという意味がある。
また、謝礼には金銭のほか物品も含まれるため、お金に限定されないことも覚えておこう。