どこか不安な気持ちになる学生時代は多くの人が通る道
――高校生時代の小比類巻に対し、内山さんが共感できた点はありましたか?
やはり高校生の時って、いろいろと影響を受けやすい年頃だと思うんですよ。大人や年上が言っていることを、そのまま吸収してしまいがちなのかなと。そういったところは共感できますよね。例えば、好きなミュージシャンがいたら、その人のインタビューを読んで「なるほど」と思って、全部、真に受けるというか。絶対視してしまうことがあります。
経済的に自立しているわけでもないし、どことなく自信がないというか、寄る辺ない不安な気持ちを抱えながら過ごすっていうのは、自身の過去を振り返っても想像できます。影響をすごく受けるかどうかというのは別にして、いろいろなものをそのまま受け止めてしまうというのは、よくわかりますね。
――そんな共感できる部分からキャラクターを作っていった感じですか?
そうですね。僕はどちらかというとマイペースに生きてきたタイプなので、小比類巻ほど「何かにすごく影響を受けた」わけではないんですけど……。自分とは少し違うけど「なるほど」と思うことはいろいろありましたね。
キホが自分の好きな音楽に対する感想を優しく言ってくれているのに、ちゃんと受け止めてあげられない感じとか。あの「痛さ」というのが、すごくわかるなぁ……って思ったんですよね(笑)。人との関係性がうまく結べない様子も含め、共感できました。そのあたりに注目しつつ、キャラクターを作っていきました。
――後章のクライマックスでは、大葉との対峙する小比類巻が、とてもドラマチックに描かれています。収録時に考えられたことは?
クライマックスでは、主人公たちと対立する悪役のように変貌して登場するので、それをうまく表現できたらいいなと。あとは、ストーリーの展開的にも盛り上げないといけないシーンだと思ったので、セリフを含めて「シーン全体に迫力を出したい」と考えながら収録に臨みました。
気になっているキャラクターはおんたんの兄ひろし
――これまでは小比類巻を中心に話を伺いましたが、作品に登場する中で〝推しのキャラクター〟を教えてください。
やっぱり、おんたんの兄・ひろし(笑)。原作を読んでいる時から、すごく気になるキャラクターです。見た目とセリフのインパクトが強く、ギャグ担当のキャッチ―なキャラクターであるとともに、実は命運を握っていて、話の本筋に大きな影響を与えているキャラクターだということが、最後まで読み進めるとわかってくる。
映画では諏訪部順一さんの声が付き、さらにキャラクターが濃くなった気がします。
――ほかにも魅力的なキャラクターが多く登場しますので、そのあたりも注目するとより映画を楽しめそうですね。ありがとうございました。
※内山昂輝さんのインタビューVol.1もチェックしてみてください。
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』
公開中
(C)浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee
東京でハイテンション女子高生ライフを送る、小山門出と“おんたん”こと中川凰蘭。学校や受験勉強に追われつつも毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日、突如宇宙から出現し未曽有の事態を引き起こした巨大な〈母艦〉が浮かんでいた。非日常が日常に溶け込んでしまったある夜、仲良しクラスメイトに悲劇が起こる。
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』
公開中
配給/ギャガ
(C)浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee
入試に合格し、亜衣や凛と同じ大学に通うことになった門出と凰蘭。大学では竹本ふたば、田井沼マコトと意気投合、 会長の尾城先輩がいるオカルト研究部に入部してキャンパスライフが始まった。一方、宇宙からの〈侵略者〉は東京のそこかしこで目撃され、自衛隊は無慈悲な駆除活動を粛々と実行していた。世界の終わりへ向かうカウントダウンが刻まれる中、凰蘭は、またもあの不思議な少年・大葉に遭遇する……。
取材・文/田村菜津季 撮影/園田昭彦 編集/田尻健二郎