大ヒット上映中の映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(以下『デデデデ』)。原作はコミックス全12巻、2022年には第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞するなど、多くの人に支持されている。
映画の前章ではちょっと冴えないクラスメイト、後章では大きく変貌した姿で現れる、重要キャラクターの小比類巻健一を演じるのが、内山昂輝さんだ。
前回のインタビューでは『デデデデ』の魅力や映画の見どころを聞いたが、今回は小比類巻健一を演じるうえで心掛けたことや、キャラクターを作り上げていった過程などについて語ってもらった。
内山昂輝さん 少年時代に劇団ひまわりに入団し、子役として活動を開始。ゲーム『キングダム ハーツII』(2005年発売)のロクサス役で脚光を集めた後、アニメ『ソウルイーター』のソウル=イーター役で一躍人気に。そのほかにも『機動戦士ガンダムUC』のバナージ・リンクス役、『ピンポン』のスマイル役、『僕のヒーローアカデミア』の死柄木弔役、『DEVILMAN cry baby』不動明役など代表作は多数。現在公開中の大ヒット映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』では月島蛍、4月19日より公開中の『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』では糸師凛を、それぞれ好演している。
2つの小比類巻健一を作って収録に臨んだ
小比類巻は、サブカル好きでSNSの情報に溺れがち。前章の高校時代(写真左)では、栗原キホと交際していた。後章の高校卒業後(写真右)は、過激派グループ「青共闘」で侵略者狩りをする。
――小比類巻役が決定した時の率直な感想を教えてください。
『デデデデ』を映像化するというのは、とてもチャレンジングなプロジェクトだと感じたのと同時に、その仲間に入れていただけるのはとてもありがたいことだと思いました。
小比類巻というキャラクターは、大きく変化するキャラクターです。高校生時代の彼と、侵略者狩りに向かう彼。そこの変化をどうつけていこうかなと。そんな〝2つの小比類巻〟を準備する必要があると思いました。
――〝2つの小比類巻〟を演じるに当たり、意識したことを教えてください。
後章では、髪型だけでなく、見た目の印象もガラッと変わりますので、それに応じた表現にしなければと。高校生時代の小比類巻は、いろいろなものに影響されがちです。それは、危うさともいえるでしょうし、年相応ともいえるでしょう。成長過程において非常に多感な時期であり、自分というものを確立できていない。そこでは、高校生らしい〝かわいらしさ〟みたいなものを表現できればと思いました。
逆に後章で闇落ちした小比類巻は、自分が信じる道を決めたら、ひたすら突き進んでいくという感じになります。その決めた道が客観的に見て正しいかどうかは別にして、です。そういった強い意志を表現すること、そして高校生時代とのギャップをどう作るかが、大事だと思いました。
1人きりでの収録。スタッフと二人三脚で小比類巻を作り上げていった
――アフレコ時のディレクションで印象的なことはありましたか?
やはり「ギャップをどう作っていくかが大事」ということが話題にのぼりましたね。収録が進んでいった段階で、小比類巻が高校を卒業して再登場する際、少し様子が変わった状態で登場してきます。その変化の度合いを、どのくらいにするのか、スタッフサイドといろいろ話し、試しながら作り上げていったという感じです。
実は、僕が最初にテストした感じだと「ちょっと闇のキャラクターが完成しすぎてるね」「もう少し高校生の時代に戻そうか」みたいな指摘もありました。
――特に小比類巻に大きく影響を与えるのが、栗原キホです。前章の収録時には、栗原キホ役の種﨑敦美さんとの掛け合いはあったのでしょうか?
今回の収録は一人でやることが多かったんです。そのため、キホに早口でまくし立てるシーンも含め、相手がどんなふうに話すのか想像して表現していくのが大事でしたね。
収録時は、相手と掛け合うテンポ感や、高校生特有の精神的な未熟さゆえにブレてしまう雰囲気が、うまく伝わればいいなと思っていました。