3.ランスタッドの「キャリア教育授業」で働くことの喜びや大切さを学ぶ
総合人材サービスを提供するランスタッド株式会社は、その事業の特性を活かし、小中高生にキャリア教育を中心とした出前授業を提供している。
同社のオペレーショナルタレントソリューション 東日本本部 北日本エリアマネージャー 齋藤修一氏は、次のように解説する。
「労働市場の急速な変化や、新たな技術や業界の進歩により、10年後の職業は現在とは大きく異なる可能性があります。そこで、世界で最も公平で専門性を備えた人材サービス会社を目指す当社として、学生時代から働くことの喜びや大切さに気付いてもらい、夢と好奇心を持って将来に向けて進んでほしいという願いからキャリア教育を行っています。
仙台支店では地域貢献の観点から、小学校でキャリア教育を担えないかと考え、2023年5月より検討を重ねてまいりました。世の中には小学生の皆さんが知らない仕事も数多くあり、そうした知られていない職業にも、私たちの生活に欠かせない重要な役割があることを伝えたいと考えています」
●「新しい学び」となるポイント
同社の出前授業は、学生にとってどのような新しい学びが得られるだろうか。
「小学生については外部の大人とのコミュニケーションを通じて社会性を高め、人間関係を形成することの大切さを学ぶ機会につなげること。中高生には求人と履歴書をマッチングしたりと、年齢に合わせた体験型プログラムを実施してきました」
「宮城県塩竈市立月見ヶ丘小学校においては、当社のノベルティグッズを考えてもらう授業を実施。チームワークやグループプレゼンテーションの経験も積めるようにしています。実際にできあがったグッズを手に取ってもらうことで、一連の販促制作を実体験できるプログラムにしました」
●得られた学びと感想
授業を受けた子どもたちからの感想としては、次のようなものが挙がっているそうだ。
「こんなにいろいろなしごとあるの知りませんでした」
「グループワークが一番おもしろくて、あまりしゃべらない人ともたのしくしゃべることができ、協力することができて本当によかったと思った」
「発表の時、自分のいけんをいえてよかったです」
「世界に一つだけのもの(ノベルティグッズ)がつくれてよかった」
●今後の展望
今後は、出前授業についてどのような展望があるだろうか。
「ノベルティグッズ提案の授業を行った月見ヶ丘小学校様からは大変好評の声をいただいており、今年の実施についてもご相談を受けています。他地域でも実施することを検討中です」
小中学生は、ほとんど社会の仕事に触れる機会がないことから、どのような仕事があるのかを学べるのは貴重な経験となっただろう。また、グループワークや販促制作体験などは授業では得られない学びにつながったと思われる。
3社の出前授業を取り上げた。いずれも普段の授業では得られない、広い視野を獲得できる学びにつながっている点が特徴だ。教員の負担が指摘されている昨今、いかに外部の授業を活用していけるかが学校側の課題。また民間企業もいかに有意義かつ新しい学びを提供できるかが重要になりそうだ。
文/石原亜香利